第6話 地上の花婿(葵side)②

 良平と連れ立って、白い空間を進む。


 いつの間にか、美しい森の中にいた。生き生きとした緑が、梢が爽やかな風に揺れている。 


 まるで手招きしているようだな……


 導かれた先には、白い祭壇。振り向けば花々に彩られたアーチが見えた。


「綺麗なところだな」

 

 思わず漏れた素直な言葉に、良平がクスリと笑った。


「ああ、そうだな。葵のそんな興奮と感傷がないまぜになった顔、早く竹内に見せたいよ」


「うるせぇ」

 小さく毒づきながらも、心の中のワクワクが止まらない。


 陽と会える!


 この日をどんなに夢見たことか―――

 

 陽人はるとと出会って、茜や良平、みんなに見守られてこの世もちゃんと楽しいけれど、やっぱり、お前の代わりはいない。



 だから、今度こそ……



 あの時お前は、『今日だけ』ってやせ我慢したろ。


 俺はもう、我慢しないぜ!


 今度こそ、お前を一人占めする!


  

 お前がなんと言おうと、俺はもう、お前を手放す気は無いんだから―――


 覚悟しておけよ。



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