第9話 関門トンネルを超え、いよいよ九州入り。
食堂車で軽く食事を済ませた教授はそそくさと会計を済ませ、自席に戻った。
これで、夕方まで持つだろう。
席に戻って間もなく、車内販売がやってきた。
ここで、珈琲を頼む。
食堂車よりもこちらのほうが幾分安いのと、何より、気楽でいいから。ブラックで飲むこともしばしばあるが、今回は、砂糖とミルク一式ももらい、それらも珈琲に入れて混ぜて飲む。
列車は山口方面への玄関口である小郡も通過した。
その代わり、セメントの街・宇部に停車。
ビジネスマンの降車がある模様。
宇部に停車する以上、隣の小野田や厚狭には停車しない。この3駅、特急・急行を問わず、先ほどの小郡も含めて停車駅がまちまちである。
新幹線と交差する長門一ノ宮(現在の新下関)と幡生を通過し、本州最後の停車駅、下関には、定刻の丁度12時30分着。
ここでさらにいくらかの下車客もあるが、乗車客も増えてくる。
博多方面のビジネス目的の移動であろう。
下関では運転士が交代する。
広島でのこの列車同様、「あさかぜ」のように下関車掌区が担当する列車であれば、ここで車掌の交代が発生することもある。
数分の停車の後、列車はいよいよ九州入り。
やがて車窓が暗くなり、ほどなくして下り坂から上り坂に。
明るくなったと思ったら、今度は、車内の照明がいったん暗くなる。
それもつかの間、車内の明かりは元通りに。
ただし、車外の走行用の電流は、直流から交流へと変わっている。
ほどなく門司駅を通過し、次の小倉で再び停車。
屋根のほうで、何やら音がする。
ドスンと、いささか重い何かが屋根上に降ってきたような音。
ここで直流から交流に代わるにあたり、パンタグラフ2台のうちの1台を下ろしてもよい状態になるのだ。
交流区間は両方上げて走ることは可能だが、無駄に上げておくこともないので、交流区間の最初の停車駅で一つパンタを下ろすことになっているのである。
食堂車は丁度昼食時。食事に向う客も増えている。
小倉では、降車客とともにかなりの乗車客がある。
もっとも、堀田教授のボックスには誰も来ない。
それでも、その車内はおおむね6割程度の乗車率になった。
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