第5話_上原さんは可愛い(山野井)

上原さんに、とうとう告白してしまった!


うわー、やばすぎる!

めちゃくちゃ緊張した。


上原さんの部屋を出た途端、

足の力が抜けた。

しゃがみこんで、しばらく動けずにいた。


やってしまった!

上原さんが可愛すぎてキスまでしてしまった。


上原さんは完全に、おびえていたのに。

不安そうな顔もまた、可愛いかった。


1年前。

この会社に中途で入社したときに、上原さんに出会って一目惚れした。


上原さんは、見た目がまず可愛かった。

童顔で、目が大きくて。


そんなに可愛い顔をして、

上原さんには絶えず彼女がいて

悔しいことにいつも誰かに独占されていた。


上原さんは、街コンで出会った大学生とも

すぐに付き合った。


女の子は上原さんの見た目が可愛いから

ついついガードがゆるくなるのか?

だからすぐに、交際に発展するのか?


上原さんは、見た目可愛いけど、

中身は、けっこう男らしい部分もあるのにな。


男らしいんだけど。

でも優しくて。

優柔不断で、人に流されやすい。

上原さんのそんな性格も見ていて、心配になった。


あぁ、明日から、どんな顔をして上原さんに会えばいいのか


でも告白したことに後悔はしていない。


上原さんは、ビックリしていたし、受け入れてくれる可能性は低い。

それでも、あきらめるつもりはないけど。


会社ではとりあえず、普通に接しよう。

これ以上、グイグイ押しても良いことはない。

次のチャンスを狙うしか無いよな。


う~ん。


告白なんかしないで、上原さんの家に

泊まればよかったかな~判断ミスったか?


いや~泊まったら泊まったで

ドキドキしすぎて眠れないし。


そんな妄想をしながら、僕はノロノロと立ち上がり、

上原さんのアパートを後にしたのだった。



その2日後のこと。


僕のスマホに街コンの大学生、香苗ちゃんから連絡が入った。


「蓮さんと明さん、梨央と、香苗の4人で飲みませんか?」

という連絡だった。


「えっ?聞いてないの?

梨央ちゃんと上原さんは別れたんだよ」


「知ってます~知ってます~友達として

また遊んでもらえませんか~」


そんなメッセージが来たのだった。


(友達。う~ん。狙いがよくわからないけど。

上原さんとまた飲んだりできるなら、

僕にとってはチャンスだよな)


香苗ちゃんに「OK」の返事を書いた。

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