第5話 なぜか減少するHP
「ねぇねぇ、この子強いの?」
「たぶん。一番高い速さの値だけで言えば、俺の3倍以上」
初従魔に能力で負ける主人って悲しいな。
「お~、それはすごい。でも、ヒュームってバランス型だよね?」
「うん。HPMPが50で他は全ステータス12だったよ」
「それじゃあ、この子は速さのステータス40近いんだ」
「ステータス見せようか?」
「え、見れるの?」
自分や従魔のステータスを他の人に見せられるのか。二人で試してみた結果、無理だった。おそらく関係のない人間にステータスをのぞき見させないためなんだろうけど、少し困ったな。
※ヘルプ※
ステータスはフレンドにのみ公開できます。フレンド登録は握手をした状態で両者が念じると完了です。なお、フレンドになるとフレンド間限定にはなりますがメッセージ機能なども使えるようになります。
いつもありがとうヘルプさん。また助けられました。
「ハイト、フレンドになればいいみたいだよ!」
「みたいだね。今、ヘルプさんが教えてくれた」
「え、どうしてさんづけ?」
「ゲームを始めてからお世話になりっぱなしだから、呼び捨てにはできないなって」
「そっか。私も助けられてるし、ヘルプさんって呼ぼーっと!」
ヘルプさんの助言通りに握手してフレンド登録をする。
<リーナ・アイザックとフレンドになりました。ステータスを閲覧許可を出しますか?>
もちろん、許可する。
「おっ、ハイトたちのステータスが見えたよ。私のも見せるね」
リーナ・アイザック(ダークエルフ)
メイン:見習いテイマー Lv.1
サブ1:見習い料理人 Lv.1
サブ2:見習い農家 Lv.1
HP:40/40 MP:60/60
力:5
耐:3(+3)
魔:26
速:23
運:3
スキル:テイム、料理、栽培、鑑定
称号:―
SP:0
<装備>
頭:なし
胴:来訪者の服
脚:来訪者のズボン
靴:来訪者の靴
装飾品:―
武器:―
うん、ステータスが超偏ってる。速さと魔力は俺の倍近いけど、その他が壊滅的だ。そりゃあ、地雷種族認定されるわ。耐久がここまで低いとソロでの戦闘なんて絶望的なのではなかろうか。速さはあるから敵の攻撃を躱しながら魔法で反撃みたいなスタイルをすることになるだろうけど、いくらなんでも全部は避けれないだろうし、パーティー組む前提の種族なんだろうな。
サブ職2つが生産系なのはなんとなく予想していたから問題ない。
「SP全部使ったんだ」
「残しとこうと思ってたんだけど、欲しいスキル取ると残らなかったんだ」
「なら、仕方ないか」
好きなようにやらせてあげるのが一番だからね。
「ねぇ、そういえばその子ってどうしてHPが減ってきてるの?」
「えっ」
妻に指摘され、骨狼のステータスを確認するとたしかにHPが満タンではない。
「その子って骨だし、アンデッドだよね。あるあるだけど、日光浴びるとだめなんじゃ……」
すぐに骨狼の持つ称号の詳細をみる。
称号<闇の住人>
邪悪な力によって死より舞い戻りしモノは、聖なる物と地上を照らす光を嫌う。
効果:太陽の光に当たると徐々に体力が減少する。また聖属性の攻撃やアイテムによるダメージが3倍。
ズバリ妻の指摘通り。
「やばっ、とりあえずあっちの影に入ろう! ついてこい骨狼!!」
指示を聞いた骨狼は俺の後ろをついて建物の影に入る。再度ステータスを開いくとHPの減少が止まっていた。
「ほんとにごめんな。次からは気をつけるよ」
しゃがんで骨狼の頭を撫でると剥き出しの骨尻尾を左右にぶんぶんと揺らした。
「許してくれたんじゃない?」
「だといいなぁ……初めての従魔に嫌われたら流石に堪えるよ」
「反省したなら、早速態度で示そうか」
「そうしたいのはやまやまだけど、何をすれば……」
アイテムボックスには何も入ってないから、あげられるものなんてないぞ?
「名前! さっきから骨狼骨狼って種族名で呼んでたら可哀想だよ」
「そうか……たしかに。考えるから少し待ってくれ」
神話や伝説の狼から名前をもらうってのが、定番な感じはする。でも、この子がこれから進化したとして、進化先の種族と名前が偶然同じになったりしたら可哀想だよな。そう考えると普通の名前っぽいけど意味を持たせたものがいいか。
「で、何か思いついた?」
しばらく続いた沈黙を、妻が破る。
「マモルってどうかな」
俺と共に妻を守って欲しいという願いからマモルという名前を選んだ。
骨狼に気に入ってもらえるか不安で自信なさげに口にしたのだが……その心配は無用だったみたいだ。骨狼は自分の名前を聞いてすぐに、その場で大きくジャンプ。そして落ち着いたかと思えば俺に近づき、頭をスリスリする。
たぶん気に入ってくれたんだと思う。
「ちょっとハイトだけずるいよ!! マモル、私にもスリスリは?」
妻が両手を広げて待ちの体勢に入る。それを見たマモルは困惑しているようだ。
「困ってるからやめておこうか」
気持ちは痛いほどわかるが、マモルにスリスリを強要することはしたくない。
「うそ……なんでえええええぇぇぇぇぇぇぇ」
この後、妻が気を取り直すのに一時間もかかった。まさかそこまで落ち込むとは俺も思いもしなかった。
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