2人の距離と時間は少し遠い。

病気の治療のために行った6年間のコールドスリープから目覚めた光莉。
そんな彼女を待ち受けていたのは、6年という長い時間で生じた、帰りをずっと待ってくれていた恋人の朝人や、年下の幼馴染である純也との距離だった……

2022年11月に上演された朗読劇「読書三余」に向けて書かれた一編。
今回、公開された物は上演版では削られていた部分があり、上演を見た方はその部分を読んで上演版と今回の物を比べてみるとより楽しめるようになっている。

しっとりとしていて最後の余韻が良い作品だった。距離と時間は少しだけ遠くなってしまったが、それでも一緒にいることを選んだ光莉たちのこれからには、きっと辛いことがいくつも待ち受けているかもしれない。だが、その人生に少しでも、少しでも希望があることを願う。2人のなりの速さでこれからも一緒に生きていて欲しい。そう思った。

あと、純也くんのこれからにも幸あれ。