第24話 前日の小さな会話。

校外学習、前日譚————————


 電子渦巻くネット世界。

 0と1で構成されたその単純明快な世界は、その実、人の欲により複雑に入り乱れるという矛盾を孕んでいる。


 人間も同じだ。男と女、その二種類しか存在しないはずなのに、中身を見れば百人百色、同じ人間などいない。そればかりか彼らは相互に影響し合い、独自の法律を作り上げる。


 それが複数にもなれば、自ずとまたさらに入り乱れるというもの…。

 ではどうしたか?簡単だ。絡み合うというのなら単純化してしまえばいい。


 ルールを設けた。

 争いを無くした。

 規律を創った。

 諍いを無くした。

 法律を敷いた。

 口論にまで発展した。


 だが本当に度し難い。


 複雑化するのが人間の性であるなら、当然のこと。

 法律で単純になったそれは、また新たな法律で複雑化するではないか。


 曰く、法を乱すのもまた法である。

 目には目を、歯には歯を、法律には法律ってか。

 そうしてこの電子世界にその複雑となった法に守られた存在が。


『武ちゃん、今度はこの子な』


 電子世界にそんなメッセージが写真と共に浮上する。

 相手の食いつきは早く数分と待たずに返信が飛ぶ。


『おけ、場所とプレイ内容よろ』

『かあー!武ちゃん、かっけぇ!写真見ただろ?相手高校生だぜ!』


 相手を誉めそやした人間は続きメッセージを送る。


『場所は〇島、プレイ内容は特に指定なし。とにかく野外でレイプして欲しいんだってさ。嫌がるけど演技だから続けて良いよって!』


 相方に内容を伝え終えた男は、会話を続ける。

 理由は今回の獲物が、今までの獲物と比にならないほどの美少女であったからだ。


『でもなんで?こんな子が?』

『こういう一見真面目そうに見える子ほど、性欲は強いんだよ。自分を律してる分、その反動がでかいんだろ。俺達の鬱憤と共に解消してやろうぜ』

『かあー!武ちゃん、優しッ!こんなかわいい子とやれるなんて俺感激!明日が楽しみ!』

『おう、楽しもうぜ。○○駅集合な』

『おけ』


 会話を終えて、そこでは二度と会話が行われることはなくなった。そのグループと会話内容は削除されたのだ。

 そうして彼らは野に放たれた。

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