第4話とある神様、花粉症になる

 とある山奥の古い神社にとある神様が独りで住んでいた

「へっくしゅ、へっくしゅ、へっくしゅん」

神社からなにやら、くしゃみが聞こえる

神社の前の広場にカラスが来てみると、神様、くしゃみをしていた

「よう、カラスよ、へっくしゅ、元気か、へっくしゅ」

カラスはくしゃみをする神様を見てニコッと笑うと言った

「神様、神様のお力で花粉症を治してはいかがですか?」

神様はカラスを見るとふんと笑いつつ言う

「神は自分の為には力を使わないと決まっているのじゃ

安易に、そんなことを言うでない」

「神様、そんなこと言いますが、いつも神の力でゴージャスな

ディナーを食べているじゃないですか」

「それとこれとは別じゃ、食べなければ死んでしまうからな

ゴージャスなディナーは命に関わる。花粉症では死なんぞ」

カラスはくしゃみを必死に我慢している神様が面白くて、笑った

「では、神様、病院に行ってきてはどうですか?」

「馬鹿者、神が人間の手を借りたとあれば、世のことわりは滅茶苦茶になる

くしゃみくらいなんじゃ、我慢できるわい」

と言いつつ、へっくしゅ、へっくしゅとくしゃみが止まらない

そこへ、すずめがやってきた

「神様~、花粉症の薬を持ってきました~」

すずめがそう言うと、神様目を輝かせて、すずめを見た

「すずめよ、でかしたぞ。よう薬局からパクッて来れたな」

それを聞くと、すずめは嫌な顔をして言った

「神様~パクってないですぅ~、ちゃんと薬局で働いてきた褒美です

「まぁよい、さっそくその薬をもらうとしよう」

というと神様、神通力で湯呑に水を入れて、早速飲んだ

「ぷっは~、これでくしゃみともお別れじゃな、うはははは」

カラスは神様の手のひら返しに呆れつつも、すずめに聞いた

「すずめよ、薬局でどんな仕事をやってきたのだ?」

「薬局の前の道のゴミを片付けたんだよ、ああ、忙しかった」

「そんなことでよく花粉症の薬をもらえたなぁ」

「薬局のおばさんがすずめ好きなもんで、いつもお世話になってるよ」

「ふ~ん、物好きなおばさんもいることだなぁ」

神様、薬を飲んだことで、ほっとしたらしく、ノリノリで踊っていた

「へっくしゅ、これで、へっくっしゅ、くしゃみとも、お別れじゃ」

神様、まだまだ薬が効くまで時間がかかりそうである

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