第7話 地下AIダンジョンの1・2階層

 地上へ出ると、そこには様々な機体が行き交っていた。

 車両などは地下を通っているので、機体同士がぶつからないように気をつければ問題ない。


 俺達は、地下AIダンジョンに向かった。


 夏目さんが、ダンジョンの入り口で手続き(AIと通信)をし、ダンジョンリフトに乗り1階層へと降りていく。

 しばらくすると、リフトが止まり、ゲートが開いた。

 目の前には、金属で出来た巨大な通路が現れた。


 ここが地下AIダンジョンか。

 明かりは、天井に埋め込まれている感じだな。

 戦闘の痕跡はない。これは、小型で蜘蛛型の修繕ロボがいるためだと教えられた。

 ダンジョンのルールとして、修繕ロボは、破壊または鹵獲しないように決められている。


 俺が、初めてのダンジョン内部をみて止まっていると夏目さんから声がかけられた。


『私も初めて来た時は、同じような反応になりました。では、進みますので、気をつけて』


「すみません。了解しました」


 俺達は、レーダーの反応に注意しつつ、通路を進んで行った。


 しばらくすると、曲がり角が見えた所で、レーダーに敵の反応が現れた。


『田場湖さんは、ここで待機を』


「了解です」


 夏目さんの機体が、左手にハンドガン、右手に刀を持って走り出し、反応のあった曲がり角に差し掛かった。

 すると、曲がり角の先から、俺が乗る機体と同じ敵機が現れた。


 敵機は、夏目さんの接近に気づき、殴りかかってきた。

 だが、それをステップで躱し、一閃。

 頭部が胴体と切り離されて、敵機は沈黙した。


『こんな感じで行きますので、よろしくお願いします』


「はい!」


 夏目さん凄いな。

 いくらリンクシステムがあるといっても、自分の身体のように操縦するには、多くの経験と技術が必要だ。

 俺も、頑張らなきゃだな。


 俺は、機体を操縦し、回収作業用のレーザーナイフで、腕部と脚部を切り落とし、胴体をキャリアに積み込んだ。


 その後も、順調に進み、キャリアが満載となったため、ギルドに帰還した。

 夏目さんより、手続きが終わったら朝の個室へとの通信を受けた。

 俺は、格納庫から続く、パーツ回収場で手続きをする。

 ここで、作業用ロボットごと受け渡すので、俺は作業用ロボットから降り個室へと向かった。


「夏目さんお疲れ様でした」


「お疲れ様でした。今日はどうでしたか?」


「とても勉強になりました。それに、夏目さんの操縦が凄くて、何度も見惚れちゃいましたよ」


「ふふ、そんなお世辞を言わなくても、ちゃんと報酬は渡しますよ」


「いえいえ、本心ですよ。でも、ほんと今日は勉強になりました。ありがとうございます」


「いえ。3ヶ月は長いですから、お互いあまり気を使わずにやっていきましょう。このギルドの方針で、任務中は下の名前で呼ぶことが多いので、私のことはシズクと呼んでください」


「了解です。なら俺もケイタでお願いします」


「はい。では、報酬は振り込んでおくので、後日確認してくださいね。それと次の任務は3日後になりますので、今日と同じ時間でお願いします」


「わかりました」


 これにて、初ダンジョンは終了した。


 後日報酬を確認して、3度見した。

 マーセナリーが稼げるって聞いてたけど、ポーターでこんなに貰えるとは……。

 今まで両親に頼らず、借金でここまで来たけど、全額返済出来たわ。

 

 

 3日後のダンジョンでは、1階層で腕部の回収任務となった。

 この日も無事にキャリアが満載となり帰還した。


 こうして、2週間ほど、1階層でパーツの回収作業を続けていた。


 3週間目になると、2階層に行くことになった。

 2階層の敵機体は、武装していると打ち合わせの時に言われた。

 武装の種類は、両手剣、片手剣、盾。

 この階層では、武装を回収するそうだ。

 また、盾はいくつか自分用にギルドへ預けるように言われた。

 3階層には、ハンドガンを持つ機体が現れるらしい。


 この日は予定通り、2階層を探索した。

 やはり夏目さんの操縦技術はすごい。

 武器による攻撃も華麗に躱し、頭部を刎ねていた。

 盾は、コンバットシールドを機体サイズに大型化したものだった。

 俺の乗る機体であれば、全身を守ることが出来そうだ。

 覗き窓の部分は、防弾仕様になっているらしい。

 俺達は、探索を続け、キャリアが満載になり帰還した。

 

 俺は、ギルドのパーツ回収場で、いくつかシールドを預けたいと申し出て、ギルドの俺の情報に紐付けしてもらった。

 3階層に行く際は、ここに一度寄ってシールドを持っていく必要があるな。


 こうして、2階層のパーツ回収で1ヶ月目が終了した。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る