第五話 ガラポン蛇でガラガラポン!

 メルザが言うには、この蛇の吐き出した物であの領域が手に入ったらしい。

 それと俺の目が見えるようになったあの玉もあいつから苦労して手に入れたのだという。


「どういうことかよくわからないが、あれにスッパムの実を食わせればいいんだな?」


 俺は少し近づいて、スッパムの実がガラポン蛇の前に来るように調節して転がした。

 実はぴたりとガラポン蛇の前で止まった。

 ガラポン蛇はそれに気づいて実をペロリと丸飲みした。

 するとガラポン蛇は上を向いてペイっとこちらに何かを吐き出した。



 それは一つの大きな実だった。

 スッパムの実とは全然違う形で、文字が刻まれているでかい実だ。

 それにはこう書かれていた。


 【入れ替え洞窟。何度入っても世界は変わる。湖に持ち、道願え】


「くそー、光らなかったからきっと外れだな。一回目と二回目はどっちもすげー光ったんだよな」


 メルザは残念そうに頬をぽりぽりとかいている。


「あのガラポン蛇から出てきたやつに書いてある通りにしたら、俺様の領域が手に入ったんだ。

そんでよ、もっといるはずだって思って探したらよ? すげーでかい獣のとこにいやがって。

気付かれないようにスッパムの実を食わせたら、ルインに使った玉がでてきた」


 散々獣に追い回された所、俺を見つけたらしい。

 そしてその玉には……【幻魔の力ですべての傷を癒し力を与える】

と書かれていたらしい。


 メルザが何故直ぐにその玉を使わなかったのか不思議に感じていた

が、追われていた上に俺を助けていたからか。

 そう考えていると、奥からガサガサという音が聞こえる。


「お、またガラポン蛇か? 今度こそいい物手に入れようぜ!」

「メルザ、そんなに不用意に近づくと危ないぞ。もし違う生き物だったら……」


 俺が言うより前にメルザが吹き飛ばされる! 

 奥から出てきたのは、赤黒いイノシシのような化け物だった。

 全長二メートルはあるだろう巨大なイノシシだ。


 俺は急いでメルザに駆け寄る。

 あの化け物はかなり興奮している様に見えた。


「メルザ! しっかりしろ! 言わんこっちゃない。メルザ!」


 メルザの意識がない。吹き飛ばされた時にどこか強く打ったのかもしれない。

 俺は冷や汗が出た。

 

 もしこのまま意識が戻らなかったらと思うと、急に表れた理不尽な暴力に

怒りがこみ上げてくる。


 そんな俺と対峙した化け物は、こちらを見て急に後ずさりした。

 少し怯えているように見える。

 チャンスだと思い、俺は意識の無いメルザを担いでガラポン蛇が出した実を抱え、来た道を引き返して

水面に飛び込んだ。

 メルザの領域への行き方はわからない。

 けれどメルザが言っていたのが事実なら、きっとこれで逃げれるはずだ。

 俺は必死に願った。

 俺たち二人を入れ替え洞窟に導いてくれと。

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