第5話 再会ー3

 アサヒの予想通り、大介は大学卒業後、宮神家の関連企業に就職していた。


 順調に仕事をこなしていたが、2年ほど前のとある日、急に無断欠勤し携帯にも連絡がつかなくなった。


 心配した会社の上司と同僚が自宅マンションを訪問したが誰も出ず、急病や怪我で倒れている可能性があるとして、管理会社に連絡・警察官立ち会いのもと玄関を開けてもらった。


 室内は特に荒れた様子もなく、誰かが争った形跡もない。


 大介が着用していたスーツはハンガーに掛けられてラックに吊るされていた。

 テーブルの上に現金5万円が入った財布と愛車CX-8の鍵、部屋の鍵が入ったキーケースは置きっぱなし。

 リビングは、電気がついたまま。

 画面がつきっぱなしのテレビの前のテーブルに、キャップが開いたままのペプシコーラのペットボトルと食べかけの焼肉弁当が置いてあった。

 風呂に入るつもりだったのか蓋をしたままの風呂桶にはたっぷりと水が張られていた。


 だが誰もいない。


 マンションの廊下の防犯カメラの映像には、行方不明になった前日の夜にコンビニ袋を手にした大介が帰宅し部屋に入るのを最後に、人の出入りは無し。


 部屋は8階建てマンションの5階でベランダへの窓には鍵も掛かっていたし、念の為、室内の指紋も採取したが、不審な点は見当たらなかった。


 部屋から大介と大介の携帯は見つからなかった。


 携帯会社に頼んで履歴など追ってもらったが、行方不明と同じくして不通状態。


 大介自身に借金はなく、彼女とも1年ほど前に別れていて、周囲とのトラブルなどないということから、警察も大介が失踪する理由がないため、強盗や誘拐などなんらかの事件に巻き込まれた可能性が高いと調査したが、めぼしい手がかりを掴むことは出来なかった。


 もちろんマンションの他の住人だけでなく近隣の住人にも話を聞いたが、特に大きな物音や争う声などを聞いた者は現れなかった。


 当時この辺りでは結構な騒ぎになって、宮神のおばさんが倒れたり大変だったらしい。

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