第18話

「神音さんとシャミさんは恋人同士だったのですか」

軽井沢の家を訪ねていたニニが尋ねた。

「最近、お話ししたくてもサオリが入ってくるのでなかなか出来ないのよ。」

笑いながら続けた。

「恋人、とは言えないでしょうね。」

神音は答えた。

「シャミナードを吹くとき、森の中から登場する夢の中の人と言ったほうが良いかも知れません」

「シャミさんは生きてると思い?]

神音は首を横に振った。

「もし生きていたら、沙織に会いに来るはずです。怪我をさせたご主人を放っておくはずは無いと思います。‥沙織にはつらい話だけど、もうこの世にはいないと思います。」

「だったら」

二には意を決して言った。

「忘れて下さい、シャミさんを。私は・・あなたを愛しています」

唐突な申し出に少し驚いた神音だったが、少しすると笑いながら言った。

「あなたは太陽のにおいがします。南イタリアの眩しい太陽。僕はあなたが眩しい。」

ニニは神音の胸に飛び込んだ。

「だったら、暑い太陽であなたの心を溶かして見せるわ!」

神音は躊躇いがちにニニを抱きしめた。

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