第10話

 数日後シェルターを出た詩織をつけている男がいた。橋のたもとまで来ると、足音に気づいた詩織が振り返った。そこには今野が立っていた。

「詩織、ずいぶん探したんだよ」

「もう、私のことは放っておいてください」

「なんでそんなことを言うんだ。僕たちは上手くやってたじゃないか」

「それを壊したのはあなたでしょう。あなたは、私を責めてばかり。もうこれ以上は一緒にいられないんです」

「及川の事はもう許そう。それとも神音とも関係があるのか」

「どちらも関係ありません!どうして信じてくれないの」

「だったら、何故逃げる」

「あなたが・・・・怖いからよ」

 牧田はじりじりと距離を縮める。

「私に近づかないで!」


その言葉を聞いて今野は懐からナイフを取り出した。

「戻って来いよ。来ないと言うなら」

今野は逃げる詩織を捕まえナイフを突きつけた。

ぶすっという鈍い音が聞こえた。

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