第19話 合体

「くそっ……今日も眠れなかった」


 真帆と別れたあと、俺は不眠症になってしまった。

 今日も二時間しか寝れなかったよ……。


 あと、最近はめまいや手足のしびれも起こるんだよな……。


 気になった俺は病院に行くと、自律神経失調症ってことが発覚した。

 原因はストレスだと言われたよ。


 ストレスが原因か……。

 たぶん、真帆の浮気がショックすぎて自律神経失調症になったんだろうな。


 はぁ……なんでこうなったんだ。


 病院から自宅に戻ってきたあと、俺はベッドに寝転んでスマホをいじり始める。

 ずっとスマホでゲームをしていると、急にピンポーンとインターホンが鳴る。


 ん? 宅配便か?

  

 俺は自室を出て玄関に移動する。

 玄関のドアを開けると、私服姿の黒崎がいた。


 上はパーカー。

 下はミニスカートだった。


「誰かと思ったら黒崎か……。なんで俺の家に来たんだよ?」

「暇だから遊びに来たの。ダメだった?」

「ダメに決まってるだろ。さっさと家に帰れ」

「嫌だっ! 絶対に帰らない!」


 黒崎はそう言ってギュッと俺のことを抱きしめてきた。

 急にハグされて俺は動揺してしまう。


「お、おい、何してんだよっ。今すぐ離れろっ」

「ヤダっ、離れたくないっ!」


 黒崎が更にギュッと力強く抱きしめてきた。

 そのせいで、黒崎の胸が俺の胸板や腹部に当たって変な気分になってしまう。

 ヤバい、このままじゃ俺の理性が……。


「なぁ頼むよっ、一緒に遊んであげるから離れてくれっ」

「え? ほんと? 私と一緒に遊んでくれる?」

「あぁ……一緒に遊ぶから離れてくれ」

「やった~♪ 和馬くんと二人きりで遊べる! 凄く嬉しいっ!」

「……」


 黒崎と二人きりで遊ぶことになった。

 どうしてこうなったんだ……。


 つか黒崎のヤツ、まだ俺のこと諦めてないのか。

 どれだけ俺のこと好きなんだよっ……。



 ◇◇◇




 現在、俺はベッドの上に座っていた。

 隣には黒崎がいる。


 あの可愛い女の子ランキング二位の黒崎が俺の部屋にいる……。

 なんだこれ? 

 俺は夢を見ているのか?


「さてと、エッチぃことしよっか」

「いやいや、しないから。何言ってんだよ、お前」

「えぇ……いいじゃん、エッチぃことしようよ、ね?」

「ダメだって、そんなの……」


 俺がそう言うと、黒崎は小首を傾げる。


「なんでダメなの?」

「なんでって……そういうのは恋人同士がすることだろ?」

「じゃあ恋人になろうよっ」

「それは絶対イヤです」


 俺がそう言うと、黒崎は風船のように頬を膨らませる。


「もうっ、なんで私の恋人になってくれないのっ……。私のこと嫌い?」

「……」


 黒崎の言葉に俺は黙り込む。

 別に黒崎のことは嫌いじゃない。


 美人だし、スタイル抜群だし、性格もいいし、趣味も合うし。

 

 黒崎と付き合ったら毎日が楽しいだろうなぁ。

 けど、黒崎を信じるのが怖い。

 身内以外の人間に本当の自分を見せるのが怖すぎて仕方ない。


 もう二度とあんな体験したくないんだよっ……。

 これ以上傷つきたくないんだよっ。

 だから、コイツとは付き合えない。


「和馬くん」

「……」

「私は君のことが好き。ストーカーから私のこと守ってくれた時から君のことが大好き。だからっ」

「んっ!?」


 急に黒崎が俺の唇を奪ってきた。

 黒崎の大胆な行動に俺は目を見開く。


 え? どういうこと? 

 俺、今キスされてる?


 今の状況に混乱してしまう。


「ちゅっ、ちゅっ……和馬くんっ、好きぃ♡」


 黒崎が何度もチュッチュッとキスしてくる。

 

 こ、コイツめっちゃキス上手いなぁ……。

 黒崎とのキスが気持ち良くて徐々に理性が追い詰められていく。

 ヤバいっ、り、理性が……。

 

 しばらくして俺たちは唇を離す。


 黒崎の顔は真っ赤になっていた。

 たぶん、俺の顔も真っ赤だろうな。


「く、黒崎……い、今のは?」

「和馬くんのことが大好きだからキスしちゃった。えへ、えへへ」

「……」

「私とキスすんの嫌だった?」

「べ、別に嫌ではないけど……」

「っ……そ、そっか」


 黒崎とキスするのは全然嫌じゃない。

 むしろ、もっと黒崎とキスしたいと思ってしまった。

 

「和馬くんっ、もう一回キスしよっか」

「……そんなのダメだって。俺はもう二度と――っ!?」


 再び黒崎が俺の唇を塞いできた。

 そのせいで喋れなくなる。


 黒崎が俺の口内に舌を入れてきた。

 俺は彼女の舌を受け入れる。


「んっんっ……ちゅっ、ちゅっ、和馬くんっ」

「黒崎っ」


 黒崎とキスするのが気持ち良くて、どんどんバカになっていく。

 あぁぁ……もうダメだ。

 こんなことされたら我慢できないよっ。


 我慢できなくなった俺は黒崎を押し倒す。

 すると、彼女は驚いた表情になる。


「最後までシたくなった?」

「当たり前だろ。あんなキスされたら我慢できないって。悪いけど、最後まで付き合ってもらうから」

「ふふ、いいよ。私のことムチャクチャにして……」

「あぁ……」


 今日、俺は黒崎と最後までシてしまった。

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