#07 大学のいつものメンバー



 今週、ミキやヒトミ以外にも俺の家に来ている人物がいる。

 大学での友人である『三島コウイチ』と『山田レイジ』の二人。


 学校ではいつも一緒にいるグループのメンバーで、グループは俺とこの二人ともう一人を入れて4人。

 1年の時に一般教養のクラスが一緒だったことで話す様になり、県外から来てる者同士で意気投合してつるむ様になって、授業の席取りを協力しあったり、ほとんど毎日学食で昼飯を一緒に食べてたり、試験や課題のレポート等の情報を共有したりと、今や学校では欠かせないメンバーだ。


 1年の時は、履修届けの提出後につるむ様になったので、専門教科などはバラバラに履修していたが、2年の今年はメンバーで相談しあって、みんなほぼ同じ授業を履修してて、空き時間とかも一緒だからその時間を利用して学食で一緒に課題のレポート片付けたり、みんな大学の近所で部屋を借りているので、誰かの部屋に行ってダラダラしたりして時間を潰すことが多い。


 それで今週の木曜日に、午前の1コマ目が終わったあと午後の授業まで時間が空いたので、三島と山田の二人がウチに遊びに来ていた。 もう一人のメンバーの『鈴木リュウヘイ』は、朝起きれなかったらしく1コマ目から休んでて、この日はウチにも来ていない。


 つまり、ミキやヒトミと同じく三島と山田の二人も今週ウチに遊びに来ているので、状況的には俺の部屋から俺の私物を持ち出すことが可能だったと言える。





 木曜日の朝、1コマ目の授業がある教室へ行くと、既に三島と山田が来ていたので「おっす」と挨拶しながら俺も三島の隣の席に座り、授業が始まるまでスマホをいじりながら二人と雑談をしていると、授業が始まる時間になっても鈴木が来ていないので、メッセージアプリで『授業始まってるぞ』とメッセージを送るも既読にならないので、三島と山田に「鈴木、寝坊っぽい」と伝えて放置。


 授業が終わりスマホを確認すると、鈴木から『寝てた。午後から学校行く』と返信があったので『了解』とだけ返して、三島と山田に「どうする?学食にでも行く?」と聞くと、「どうせ鈴木は午後まで来んし、今日も誰かんちに行かね?」と山田に言われ、三島が「今日はアッキー(俺のあだ名)んちにしよーぜ」と言うので、3人でコンビニに寄ってから俺の部屋に帰った。


 部屋に入ると三島と山田はバッグを降ろし、いつもそうしてるように床に寝ころがったりベッドを背もたれ代わりにして、スマホをいじり始めた。


 コレは俺の部屋に限らず、他の誰かの部屋に行った時もこんな感じで、各々がスマホでゲームしたり雑談したりして過ごす。

 飲み物や食べ物なんかも、コンビニとかで自分で買って来たものを飲んだり食べたりするので、俺の部屋だからと言って自分以外の物を用意したりはしない。その辺は『自分で飲み食いする物は自分で用意する』と、お互い暗黙のルールみたいになっている。


 二人がゴロゴロしてるので、俺はテーブルのイスに座って暇つぶしにノートPCで動画漁りを始めた。


 30分程そんな風に過ごして居ると、ベランダでタバコを吸っていた山田が突然「そういや、鈴木に彼女出来たん聞いた?」と言い出した。


 今現在、4人の中で彼女持ちは俺と山田の二人で、これまで三島と鈴木には彼女が居なかった。

 山田には高校時代から付き合ってる彼女が地元に居て、遠距離恋愛を続けている。

 三島と鈴木には話してないが、去年のクリスマスに山田の彼女がコチラにまで山田に会いに遊びに来ていたらしく、俺もミキとデートで繁華街をブラブラしている時に偶然デート中の二人に遭遇して、その場でお互いの彼女を紹介し合っているので、山田の彼女とは面識あるし、メンバーの中で唯一山田だけがミキと面識ありだ。


 三島の方は、『年齢イコール――』ってヤツで、ずっと「彼女が欲しい!」と言い続けてて、今はバイト先に気に入った子がいるらしく頑張ってる様だけど、まだ上手くはいってない様だった。

 なので、「鈴木に彼女が出来た」と聞いて、三島が過剰に反応した。



「は!?ウソでしょ!」


「いや、ホンマらしいよ。 先週の金曜に合コンあるとか言てたやん?ソコで仲良くなった子らしい」


「へー、可愛い子なん?」


「顔までは知らんけど、鈴木が言うにはめっさ可愛いらしい」


「マジかよ!同志だと思ってたのに!クソムカつく!」


「いや、お前だって鈴木より先に好きな子と上手く行ってたら鈴木のこと見捨ててただろ?」


「真っ先に彼女作って俺ら見捨てたアッキーにだけは言われたくねーし!」


 その後も荒ぶる三島を宥めつつ、鈴木に『彼女の画像送れ』とメッセージ送ってイジったり、買って来た弁当食べたりしながら過ごし、午後の授業が始まる前に部屋を出て、3人で歩いて学校へ戻った。



 と、木曜日の日中はこんな感じだった。

 こんな風にいつものメンバーで過ごすのは日常茶飯事で、一々毎回どんな会話したとかしっかり記憶にある訳じゃなく、それにこの日二人の行動をずっと監視してた訳でも無く、むしろ全く気にせず放置してたくらいだ。

 それと、俺は吸わないけど三島と山田は喫煙者で、俺んちでタバコを吸う時は空き缶もってベランダに出て吸うので、ベランダでの行動等も把握出来ていない。


 あくまで状況的には、今週は三島と山田も俺の部屋から物を持ち出すことが可能だったという話で、部屋を出てから学校で午後の授業を受けている間もずっと一緒に行動してて、ジョギングシューズや傘などの隠して持ち歩くのが不可能な物は当然持ち出せないので、ミキやヒトミと同様に一応は容疑者にはなるけど、本気で疑っている訳では無い。


 それと、先月のトランクスが消えた時のことは記憶が曖昧だけど、あの週の木曜日にも三島と山田と鈴木の3人はウチに来てたと記憶してるが、流石に使用済みの下着を盗んだのが男で友達の内の誰かだったとしたら、恐ろしすぎる。 





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る