2回目の流産

あれは体外授精5回目のときだった。

なかなか着床しなかった私は、二段階移植という方法で移植をした。

移植後、明らかな体調の変化に妊娠をしていると確信があった。

判定日に医師から

「おめでとうございます」

そう言われたときに夫と心の底から喜んでいたことを思い出す。


一週間後、胎嚢確認をしに病院へ行った。

「胎嚢が二つあるので双子ですね」

そう言われたとき嬉しさと同時に不安がつきまとった。


そして数日後、大量に出血した。

私の不安が赤ちゃんたちに伝わってしまったのだろうか?

泣きそうになりながら受診をしたところ

「まだ赤ちゃんはいますよ」

本当に良かった。まだお腹にいてくれたんだ。

その安心もつかの間、また大量に出血してしまったのだ。

近所の婦人科に診てもらったら

「赤ちゃんはまだいますが、この大きさで心拍確認出来ないのはおかしい。」

そう言われて頭が追いつかなかった。

ここまで頑張ってやっと来てくれたのに、、、また駄目なんだろうか?


数日後、治療している病院で診てもらった。

藁にもすがる思いで内診室へ向かう。

「赤ちゃんたちの心拍確認出来ましたよ。」

頑張って生きようとしているのだと嬉しかった。

今度こそ大丈夫。きっと大丈夫。

この子たちは強い子なんだと言い聞かせた。


さらに一週間後、希望をもって内診室へ向かった。

この日の内診は長く、医師の口数も少なかった。

「両方の赤ちゃんの心臓が止まっています。」

また赤ちゃんの命守れなかった、、、

待合室で待っていた夫に告げると信じられないという顔をした。

そのあとの記憶があまりない。

もう一度内診をしてもやっぱり心臓は動いていなかった。

私は2度目の流産手術をすることになった。


どうしてまた私なんだろう?

我が子に会いたいだけなのに

そう思いながら頑張ってきたのに

これ以上どうしたらいいんだろう。

悲しいを通り越して、無の感情が続いた。

悲しみが大きいと防御装置として心に蓋をするというのがあるのだろうか?

無かったことにしたくない。

けど思い出したくもないと頭が拒絶する。


時間が解決してくれるとは思わないし

きっと死ぬまで私は抱えて生きていくのだろう

完全に無くならない大切な痛みを。


一つクリア出来たと思ったらまた行き止まり。

どうやら私の人生は歩みごたえがありそうだ。



















































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