24.魔法陣と魔水晶

「ねぇ、気になったんだけど循環と洗浄の魔法陣って何?」

「え?循環と洗浄の魔法陣は循環と洗浄の魔法陣よ。」

「サルビアさん、それ説明になってないよ。」

「俺もいまいちわからんな!」

「魔法使いの俺の出番だな!あのな、風呂とかトイレとか水道とかよ、水が汚くなるだろ?」

「そうだね。」

「まぁ、田舎だとボットンでスライム処理だけどな、大きい街だとスライムでも魔物だからって完全排除よ。それの代わりが綺麗にして使い続けられる魔法を埋め込んだ循環と洗浄の魔法陣だ。風呂は貴族やよっぽど大きな宿とかじゃないと整備されてないが。


魔法陣は魔力込めながら刻まないと機能しないし、管理する魔水晶の所まできちんと流れるようにしないと、魔水晶交換しても作動しないから専門の業者が時間かけて作るんだよ。


やり方は魔法陣の本が出回ってるから知ろうと思えば知れるけど、一定の魔力込めながら決まった魔法陣を描くのが難しいんだ。俺も挑戦した口だけど、魔力すげぇ持ってかれるから、あれを仕事にすんのは勘弁だな。」

「成る程。ありがと。ーーー魔水晶って何?」

「今度はそっちかよ!お前世間知らずだな!」

「えー、私もよくわかんない。魔力がこもってる水晶で、なんか結構高いよね?商会とか商人ギルドで売ってる。」

「人だと魔力使うと暫く使えなくなるだろ?寝たり飯食ったりしてるうちに回復するけど、それって空気中の魔力を自然と取り込んでたり食材に魔力が宿ってたりで接種して回復してるって話しだ。


魔獣だと魔石があるだろ?魔獣は魔石に魔力を溜め込んでストックにしてる説がある。魔石に魔力があってポーションに使ってるのは、人が体内に取り込んだ魔力と、質が違うって考えだ。


人が体内に取り込んだ魔力は性質が変わって、魔石の魔力は質が変わらない空気中の魔力と同じで圧縮されたものって考えだ。


魔水晶ってのはそれの更に圧縮された魔力で、魔力溜まりの地中深くか水深深い湖や海の中か、地殻変動で隆起した土の中からしか発見されない。


水晶になっちまったものは空になると国が管理してる魔力溜まりの湖にまた沈めて魔力補充できるから、そうそう無くなる事はないけど、壊れたりもするし、交換すると1年は持つからやっぱり高いんだよな。


冒険者で魔法使いは魔力ポーション代わりに持つ奴もいて、その度飲むか引き出すかの違いらしい。ポーション代わりにすると早くなくなるから、トータルの値段で考えると若干水晶の方が高いぞ。でもポーションより回復度合いも高いし飲まなくてもいいから、実力以上に魔法連発したい奴は魔水晶持ってる。俺もいざって時のは持ってるぜ。」

「へぇ。それって圧縮された魔力って事だよね。人が空の魔水晶に魔力注入するのは駄目なの?」

「あぁ?なんか人の魔力は濃度が薄いとかなんとかって話だぜ。ポーションじゃ質の話で駄目だろうけど、単純に魔力を使うのにはいーんじゃないか?やった魔力多い奴もいるけど、魔水晶に魔力満タン溜めるまでにそうとう時間かかったって話しだから、」

「そうなんだ.....シグナルさんって学者みたいだね!色々知ってる!」

「シグナルはねぇ、王都の魔法学校にいたのよぉー。」

「3年のとこ2年だけな。貴族のアホに頭来て喧嘩して辞めたんだよ。学校じゃ権力関係ないって校則にもあるのに、威張り散らしてる輩でよ、我慢できなかった。宮廷魔法使いとかお役所の魔法使いは大抵貴族絡みになるし、卒業しても学ぶ事ができるだけでそれを生かした就職はできなかったかもなぁ。」

「いい貴族もいるんじゃないの?」

「少数だろ。よし、大体説明したぞ。満足か?」

「うーんと、魔水晶って圧縮された魔力で圧縮される環境で出来るんなら、空の魔石に重力魔法で圧縮しながら魔力圧縮して入れたら水晶に化けたりしないかな。」

「お前............さては重力魔法まで使えんだな?重力魔法まで使えるんなら魔力の扱いなんてお手のもんだろうけど、魔力圧縮って何だよ。そんな事できんのか?」

「分かんないけど、実験する!」

「お前凝り性だろ。魔力欠乏すると具合悪くなるから程々にしとけよ?底まで使い果たしたら下手すりゃ死ぬからな!試してみて成功したら買ってやるよ。元が魔石ならそれは安く売れよ。」

「オッケー試してみる!あ、魔法陣の本って『ラオ爺の本屋』にあるかな?」

「あそこは雑多におかしい品揃えだからな。欲しい本は大抵見つかる不思議な本屋なんだよ。予知魔法とかあの爺さん使えんじゃねぇかって噂だな。」

「何それ予知魔法なんてあるの?」

「いや、ありゃお伽話だ。時の精霊様と契約した奴が使えるって絵本であった。」

「あ、知ってる!『ときのせいれいさまとゆうしゃ』って本でしょ!」



その後脱線しまくりの話が弾んだ。

結局宿はどうするんだ、の話に戻る頃には14時過ぎになっていた。

腹減った!あ!お弁当あるんだ!と異空間からお弁当出して食べようとすると、皆んなに見られた。



「収納スキルってマジで便利だな.....。なぁ、それ1人で食うのか?」

「今日の用意は当然各自だろー?分ける量ないもん。やらないよー。」

「チッ俺らの昼食ったら、干し肉に固パンだぜ。」

「出た!一般の冒険食!」

「うるせぇ!」



けけけ、と笑い、あむあむする。

皆んなそんな酷い顔しなくてもー。



「あ、そうだ。予定先に。俺ね、明後日8時から『くまベアーの腸詰めパン包み』の屋台で腸詰め焼くの見ながら収納する作業があって。その後は商人ギルドでポーション用の瓶サンプル確認がある。明日の予定はない。」

「おう、そうか!俺達は依頼受けたら2、3日休んでまた依頼受けて、という感じだな!昨日はハクの身体の様子見もあって軽い隣町くらいの依頼を受けてな。今日は森での動きで問題ない事もわかったし、2日は自由で、3日目はギルドに集合でどうだ!俺達が宿を移るにしろ、アキが移るにしろ、前払い分があるなら共に3日後までに結論を出すと言うのは!俺は明日は個人で依頼物色でもしよう!」

「あ、兄さん、俺も。」

「お、やる気だな!アキ、ハクはアキと同じで個人だと Cランクなんだ!俺達のランクに追いつこうと頑張ってる!アキもどうだ!?」

「熱いなぁ〜。うーん、自由なら明日は魔法陣の本探して、読みたいなぁ〜」

「そうか!依頼受けたばかりだしな!休む事も大切だ!」

「こいつ読んで試したいとかそういう奴っぽいぞ。大丈夫かね〜。」

「シグナル、あんたも大概でしょ。いっその事一緒にやったら?」

「魔法陣は俺は無理だったからもういい。アキ、試すなら小さくやれよ。結構魔力持ってかれるから。」

「はーい。まずはこの後ラオさんとこいこっかな。」

「俺らは飯だな。街まで帰ってきて干し肉はない。」

「「「賛成」」」」



俺は弁当食べ終わった。

ジト目で見ないでー。





勿論この後ラオさんの本屋に行って、魔法陣と魔水晶に関連する本を買った。

流石の品揃え。

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