俺だけが持つ固有スキル『テイマー』これはあらゆる生物を自分のペットとして従えることができるチートスキルだがそれを使って強キャラをペットにしまくったらイージーゲームすぎる。

@mikazukidango32

唐突に始まった俺の異世界生活

第1話 第二の人生

 やたらと広い草原が広がる見慣れない景色。そこにはスライム状のドロドロとしたこの世のものとは思えない生物が闊歩していた。その時、俺は悟った。どうやら俺は異世界とやらに転生してしまったらしい。―――



―――コンビニで適当に何か買って帰るか……

俺はうだつの上がらない生活をしていた。激務に追われ帰りにコンビニ弁当を買ってそれを食って寝るだけの生活。なんてつまらない毎日なんだ……何か面白いことねえかな……

そんなことを考えていてぼーっとしていた俺は目の前に迫る車に全く気が付かなかった。―――ドン


 俺の体が宙に浮いていた。一瞬何が起きたのか理解できなかったが、体に走る激痛と目の前が暗くなっていく感覚で分かった。俺は車に激突され、そしてもう助からないのだと……

あっけない人生だったな。そう悲観する暇ももう俺には残されていなかった。だんだん薄れゆく意識の中で俺は自分の人生を悔やむ思いだけが残っていた。―――


―――目が覚めた俺は、この異様な空気に一瞬でこの世界は俺のいた場所と違うのだと分かった。だってリアルなら絶対あり得ないであろう生物があたりそこらじゅうを練り歩いているのだから。そういえば最近流行ってる異世界転生物のアニメがあるが、もしかして噂の異世界転生とやらを俺がしてしまったのか?……そうじゃないと説明がつかないだろこんなの。

 


 目の前にスライム状の訳の分からない生物が我が物顔で闊歩しているこの世界に俺は混乱していた。こんなの現実であるはずがない。もしこんなことがあるとすれば、俺の頭がおかしくなったのか、異世界に転生してしまったのかくらいしか説明ができない。


 とりあえず現状を把握するために俺は適当に辺りを見回してみた。すると、下の方に矢印状のコマンドのようなものが可視化されているのが分かった。それを押してみたところステータスとやらが表示された。


「何だよこれビックリした……」


 俺は意味不明なこの状況に終始、圧倒されていた。いきなり表示されたステータス画面に驚きつつも、とりあえずステータス画面を訝しみながら見てみた。


攻撃力2

防御力1

魔法攻撃力3

魔法防御力2

素早さ2


 何だこれ。弱いのか強いのか分からんが、2とか1とかばっかりだからまあ弱いんだろう。


そう思いながらステータス画面の下の方を見てみると、固有スキルという欄に『テイマー』とやらが表示されていた。テイマー?ってペットとか扱うゲームとかでよくあるやつか。


まあ、テイマーといえば大抵のゲームで弱いと相場が決まっている。


テイマーの説明欄にはこのように記されていた。

『このスキル所有者はモンスターをペットにすることが可能になります。』


ペットねえ……。でもどうせよくありがちな、弱いモンスターしかペットにできないとかそんなやつだろ。


俺はこの不可解な状況にもだんだん慣れ始めて意味不明なこの状況を少し楽しんでいた。


まあ、物は試しだ。そう思った俺は前方にいたスライムにテイマーのスキルを試してみようと考えた。


でもやり方が分かんないな、どうすりゃいいんだ。ペットにするには倒せばいいのか?それとも倒さずに生け捕りにすればいいのか?

説明書のようなものがないかとステータス画面などをくまなく探してみたが、やはり見つからない。攻略法は自分で見つけろってことか……。


とりあえず俺は、スライムにパンチしてみた。


ブニュっとした感触に、あまり効いている様子のないスライム。スライムに打撃はあまり意味がなさそうだな……。そういえばさっきステータス画面に魔法攻撃力というものがあったが、この世界は魔法も打てるのかも……。そう考えた俺は自分に何か魔法のようなスキルがないかと探してみた。


そのころ、スライムはただ、俺を眺めているだけで攻撃はしてこない。そうか、スライムはゲームで言うチュートリアルみたいな敵ってとこだろう恐らく。


先程の『固有スキル欄』とは反対側に、普通の『スキル』と表示された画面があることに気が付いた。そこには、『火の粉』と表示されたスキルがあった。説明欄には

『前方に微小な火を起こすことができます。』と表示されていた。


魔法攻撃っぽいスキルがあったので早速試しに使ってみようと考えた俺は、スキル欄をタッチしてみた。すると……


目の前にメチャクチャ小さい塵ほどの火がでてきた。なんだよこれ……。当然のごとくスライムには効いている様子は全くない。何に使うんだよこの火の粉とかいうスキルは……。俺はスライムすら倒せないこの雑魚スキルに怒りが湧いて咄嗟に、この怒りを晴らそうと地面に向かって拳を振りかぶるような動作をした。すると―――


―――『セント・スライムがあなたによって捕獲されました』


謎の音声が唐突になったかと思ったら、スライムの頭にはPETと表示されていた。


何か知らんが、スライムがペットになったってことか?テイマーが発動する条件がいまいち分からなかったがとりあえず、スライムが仲間になったってことだろう。


まだまだスキルの発動条件とかこの世界について知っておくべきことが、かなりありそうだな。


しかし、その前に、謎の音声が言っていたセント・スライムがこいつの正式な名称っぽいけど初めて捕まえたモンスターなんだからやっぱり自分で名前をつけたいよな。


何にしようか……。


初めて捕獲したペットに俺は既に愛着が湧いていた。


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