勇者と決闘して打ちまかしてしまう



俺は王都へ行った。そこで、ブレイバ君と再会。

彼が勇者であることが判明した。


……そして俺は、なぜか冒険者ギルドの、トレーニングルームにいた。

円形の闘技場のような見た目。


ここで冒険者同士で決闘などが行われる、とこらしい。

決闘なんてマジで勘弁だ。というか戦いたくない。だって面倒だし。


だが、俺の前にはやる気十分のブレイバ君。


「決闘受けてくださり、ありがとうございます!」

「いや……やりたくないんだが」


俺はそもそも決闘に乗り気じゃなかった。

しかし大観衆の前で、ブレイバ君が土下座して、大声でお願いしてきたのだ。


自分に稽古をつけてくれってよ。

はぁ、だるい。


正直、世界扉で逃げようと思ったさ。

けど彼が、自分の身につけてる装備一式をプレゼントしてくれるという。


鑑定したらそこそこ金になるみたいだったし、こないだの軽井沢での買い物で、そこそこ金使ったからな。

まあ、それとやることもなかったので、相手してやることにした。


つっても、剣の勝負なんだよな。

俺、剣術のスキルって持ってたっけ?


もう最近魔法ばっかり使ってたから、剣の必要性感じないんだよな。

まあ、なんとかなるだろう。成長率が半端ないわけだし。


「光栄です!」

「もういいからさっさとはじめちまおうぜ」


観客はいない。ブレイバ君がギルドの人と懇意らしいので、人払いしてもらったのだ。

これ以上面倒が増えてもこまるし。


「よし!いきます!」

「しゃ、こーい」


俺の獲物は、百均ナイフ。

一方でブレイバ君はご立派な剣。


彼が俺に向かって攻めてくる。

なかなか速いな。


『スキル【聖剣技】を獲得しました』


はやっ!ちょ、早すぎない?

相手の剣技みただけで習得とか、早いなんて次元超えてるだろ!


「せやぁ!」


彼が斬撃を放ってくる。

俺の体がオートに動いて、それをさばく。


キンキンキンキンキンキンキンキンキンキン!


「ぜぇ、はぁ」

「おわり?」

「まだまだ!」


キンキンキンキンキンキンキンキンキンキン!


「は、速すぎる……」

「なんだおまえ、こんなもんなの?」


勇者っていうから、もっとすごいの期待してんだがな。

スキル覚えただけの素人に負けるなんて。


「恥ずかしくないのか?」

「く、くそぉ!くらええええ!」


凄まじい速さでつっこんできた。

でも俺の目には、敵の攻撃がはっきり見えた。


俺は、なにもしない。

なにもせずとも体が達人の如くうごき、やつの剣を叩き折った。


いや、ちがうな。

ナイフが聖剣をサクッと、切断したのだ。


「す、すごい……すごいです!賢者様!完敗です!」


ブレイバ君が負けを認める。

はー、やれやれ。面倒だった。


「「「うぉーーーーーすげえええええ!」」」


え?ちょっと?

なんか、気付いたら周りにめっちゃ人いるんだけど?


え、人払いしたのに?ええー……


「勇者様たおしてしまうなんて!」

「なんだあの人は!?」

「すごい、すごすぎる!!!」


め、めんどくせぇ……

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