買ったものを強化しましょう



 スキルスロットのついた装飾品を購入した俺は、家に帰ってきた。


世界扉ワールドドアまじ便利すぎっすよね。現実であろうと、一度行った場所には一瞬でとべるんすから。実質どこでもドア」


 まあたしかにこのスキルはチートすぎるよなって今にしても思う。

 異世界への行き来はもちろん、現実でも移動時間がゼロにできるんだから。便利ってレベルじゃあない。


 買ってきた服とかを居間に全部出す。

 結構買ったな……。


「じゃ、俺、自分の部屋で作業してるから」

「わかりました!」


 なぎは買ってきたものを自分の部屋に運んでいく。

 この家にはたくさんの部屋があって、それぞれに私室を与えている。


 俺は自分の部屋へとやってきた。


「さて」

『では始めるのかの、主よ』


 フェリがベッドの上で、元の姿で横になる。

 どこかリラックスしていた。まあ窮屈だったんだろうな。


「じゃあ付与魔法を使って、スキルスロットに魔法を付与してみるか。ええと、使い方は……っと」


 俺はステータスを確認し、習得している魔法一覧から、付与魔法を選択。

 鑑定スキルで使い方を学習する。


■付与魔法:基本的な使い方は、対象物、あるいは対象者のスペックを一段階あげる【性能強化ブースト】。対象物が、スキルスロット付きのアイテムの場合は、術者の所有する能力を付与する【能力付与エンチャント】(※魔法力が足りてないとアイテムが壊れる)


「性能の強化か、スロットが有る場合は能力の付与ができるってことか」

『異世界では主に前者の使われ方をしてるな』

「そりゃまたどうして?」

『スキルスロット付きアイテムが珍しいことが一点。それと、単純にアイテムに能力を付与できるほどの、腕のいい付与魔法使いがめったにいないのが一点』


 たしかに魔法力が低いと失敗するって書いてあるしな。


「性能の強化ためしてみるか。えっと……たしかホームセンターで買ったやっすい包丁がアイテムボックスに入ってたはず……」


 俺はアイテムボックスから包丁を取り出す。

 包丁をテーブルの上に置いて、手をかざす。


性能強化ブースト


 包丁の上に魔法陣が出現する。

 刃の部分がキラキラと輝いた。


「これで完成? いやにあっさりしてるな」


 試してみるか。


俺はアイテムボックスに入っていたまな板とリンゴとを取り出す。

 買い物をしたときはボックスに全部突っ込んでいるのだ。冷蔵庫いらずだよな。


 テーブルの上にまな板をおいて、そこにリンゴを静置させる。


「よっと」


 俺は性能強化した包丁で、リンゴを普通に斬ろうとした。

 スコンッ……!


「おお、すごいきれあ……」


 ズバァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!


「ええええええええええええええええええええええええ!?」


 なんと、包丁はまな板、テーブル、そして畳すらぶった切ってしまったのだ……!


「なんじゃこりゃぁ!」

『おお、主の魔法力が高すぎて、性能が強化されまくった結果、包丁が伝説の武器並みの切れ味を手に入れたようだな!』

「まじかよ……鑑定」


■包丁(S)


 たしかに、ただの包丁がSランクのアイテムになってる……!


『ただスペックを強化しただけでこの性能。やはり主はすごいな!』

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