咎を運ぶ舟

言わずと知れた高瀬舟。
縁起で書かれてあるように、財産に対する意識、安楽死についてをテーマに描かれてあるが。かといって、説教くさくなることなく、問いを立てるだけで 答えを示すわけではなく。
いかに魅力的な謎を提出できるか、がフィクションの肝でありもして、いい手本であり。
読みかえしてみて驚くのは、表現の巧みさ。細かいところに、創意がみられ。かつ生々しい。臨場感がある。
森鴎外の歴史ものは、非常によいと思う。
『最期の一句』、ことに『じいさんばあさん』もまた。関心をもたれた方は、お読みになってみては。