番外編『短編小説しか書けない人間が長編小説を書く方法』

 この世界には、稀に短編小説しか書けない人種が存在する。

 そんな方々が、長編小説を書くにはどうすればいいのか説明したい。


 この短編小説の文字数がどのくらいかは知らない。

 だが、一話3000〜5000文字で書けるのならば、連作短編小説をオススメする。と言っても、ストーリー漫画みたいに書けるのが一番良いが。


 これならば、15章構成を応用すれば基本的に書けるはずである。


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 んで、問題は、短編小説とも長編小説とも言えない中途半端な文字数しか書けない者だ。2〜5万文字の小説なので短編小説とも長編小説とも言えず、どちらの公募にも応募できない悲しき者たちである。


 私はそんな方々を救済したいと思う。


 その方法は————。


 三章構成という書き方である。

 断じて、三幕構成ではない。三章構成である。


 この三章は、どんな話でもいい。

 自分が好き勝手に書いてもらって構わない。

 んで、その後に、無理矢理全部繋ぎ合わせる荒技である。


『戦争の話』『日常ラブコメの話』『SF超能力バトルの話』


 本来ならば、この物語は個別で書かなければならないジャンルだ。

 ミリタリー系統、ラブコメ系統、SFバトル系統とね。

 でも、三つ全てを10万文字程度書く気力はないが、一つずつならば2〜3万文字程度ならば書く体力がある。そんな人間はいないだろうか?


 ここから先は、並び替えの技術である。

 もしも、私が書くのであれば……。


1『戦争の話』

『第三次世界大戦が始まった日本。

 平凡な男子高校生の佐藤は、戦地へと出向いた』


2『日常ラブコメの話』

『第三次世界大戦から戻ってきた佐藤。

 片腕を失くして、義足生活を強いられてしまった。

 だが、彼には守るべき可愛い幼馴染みの女の子がいる』


3『SF超能力バトルの話』

『軍事は終わった。そう思っていたはずだが、軍需産業に携わっていた企業が、もう一度金稼ぎのために、戦争を起こそうとしている。佐藤は、超能力を駆使して、その企業の悪企みを止めることにするのであった』


 こんな感じでまとめる。


 本来ならば、この三つの物語は個別で語られるはずだ。

 でも、三つを融合することでも、書きたい物語は書けるはずだ。

 これを実現可能なのが、三章構成である。


 別に、これは何でもいい。

 試しに……『日常ラブコメの話』を『探偵の話』に変えようか。


2『探偵の話』

『第三次世界大戦から戻ってきた佐藤。(探偵役ならば男子高校生設定ではなく、十代後半か二十代前半とかに変えたほうがいいかもしれない)

 ともあれ、そんな佐藤は、第三次世界大戦で培った技術を駆使して、探偵業務を励むことになった。と言っても、ただのボディガードだが。

 そんな俺に舞い込んだ業務は、大企業のお嬢様を保護しろだと……?』


 こんな話になれば……。


 3の話では、大企業のお嬢様が拐われたので、助けに行く話でいい。


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三章構成のQ &A


1『三章構成と呼ぶ理由を教えてください』


 三章構成は、三幕構成とは違います。

 三幕構成みたいに、小難しいことを一切考えなくていい。

 ただ、三つの中短編小説を無理矢理繋げるだけだから。


2『三章構成のメリットを教えてください』


 飽き性人間は10万文字も書けません。

 でも、2〜3万文字ならば、最低限の努力で書けます。

 書きかけの小説が山のようにあるのではないでしょうか?

 それを上手く有効活用できる利点もあります。


3『三章構成を四章構成に変えてもいいですか?』


 基本的に禁止です。

 四章構成にするということは、ジャンルをもう一つ増やすんですよね?

 あくまでも、三章構成は、三つだから成り立つ構成だと思ってます。

 正直な話、四つ、五つ、六つと増えれば増えるほどに、物語の内容が複雑化して、「あれ……? 一体これってどんな話なの?」となるから。


 ログラインは、あくまでも一つだということを忘れてはいけません。


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作家から


 皆様、ストーリー構築理論編、お疲れ様でした。

 これで、ストーリー編は、全部おしまいです。


 分かりやすく説明したつもりですが、理解できたでしょうか?

 難しかったかな? 何はともあれ、ここまでありがとうございます。


 これで、皆様も自分たちが思い描く物語が書けると思います。

 三章構成と15章構成を覚えれば、基本的にどの作品も対応化かと。


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——次回予告——


『——文章技術編——文章を書く——』


 皆様は企画屋ではありません。

 小説を書こうと志した者です。

 アイデアだけを量産しても、物語を構想しても。

 それだけでは何の意味もありません。


 小説を書かなければならない。

 そのためには、文章を書くしかありません。

 というわけで、文章技術を教えたいと思います。

 それでは、皆様乞うご期待ください。必ず面白いと言わせますから!

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