第29話 第二部スタート前 王都にて
しかし、マリンは等身がかなり可笑しい。
体型は胸とお尻が大きなグラビア体型。
秋葉系残念グラビア…DVDが5枚位出して引退…そんな感じだが。
手足が無かったのをそのまま復元したからか…八頭身なのに小さい。
7/10とか8/10フィギュアとかが近いのかも知れない。
パチンコ屋に立っている等身大フィギュアって等身大なのに何故か130cmだったりするじゃん…あんな感じだ。
その為、この先、服や下着のサイズに困るような気がする。
黒薔薇や黒牡丹以上に…人形みたいだ。
身長を計ってみたら135cm…175cmのグラビア女性をそのままの等身大で小さくした感じだから…完全にフィギュア…生きている人形みたいだ。
まぁ良いや。
「こんな…こんな醜い姿なんて…私は私は…」
マリンは相も変わらず…自分は醜いとワナワナしている。
俺達はもう、そのまま街中を歩いている。
黒薔薇も黒牡丹も一緒に京子は擬態もほぼ外してだ。
「黒薔薇、黒牡丹にお京、ついでにマリンも欲しい物があったら、自由にして良いんだよ」
「化け物だ…」
「何故騎士団が来ないんだぁぁぁぁーーーー」
「衛兵、衛兵を呼べーーーっ」
幾ら呼んでも無駄だな…城の主力は全滅。
街には居るかも知れないが…たかが知れているだろう。
「いま、私の事化け物って言った? 言ったよね? なんでそんな事をうわ、うわうわぁぁぁぁぁーーー」
泣き喚いたマリンが『化け物』と叫んだ男の頭を掴んで潰した。
多分、俺が作ったせいか、力が尋常じゃ無くトマトを握りつぶしたように頭が爆ぜた。
「うわぁぁぁぁん、私は化け物…私は化け物…そう…人間は全部敵…人間が人間が憎い…美しい人間が憎い…」
「ひっ…化け物…」
「今化け物って言ったよね?」
マリンは女の方を向くと、素早く動き、その女の頭を掴んだ。
そして、その女の顔を地面に擦りつけるとまるで大根おろしの様に顔を押し付け、おろし始めた。
グシャぐちゃぐしゃ。
「きゃぁぁぁぁぁーーたす、たふけてーーーっ」
「うふふふっ、私の様に醜くなれば化け物なんて呼ばないよね?」
グシャぐちゃぐしゃっ。
「…たふけて…」
俺が作ったからなのか、体は普通の人間より二回り以上小さいのに、なかなか強いな。
地面に鼻やら目やらがこびりついている。
「うふふふふっ、今の貴方の方が醜いわぁぁぁーーー」
「…」
相手はもう死んでいるのに笑いながら顔を地面に押し付け摺り下ろしている姿には王女の面影は無いな。
「あれはもう王女じゃないですわね…もう完全にこちら側の者ですわ」
「なかなか…凄い」
「あははははっマリンちゃんももう立派な化け物だ」
「はぁ~あのな…俺には皆は、美女、美少女…三人には及ばないけどマリンも可愛い。だから、余り化け物って言葉は使わないで欲しい。俺にとっては『人間』が化け物なんだからな」
「そうでしたわ…ごめんなさいですわ」
「ごめん」
「そうだね…悪かったよ」
「まぁ良いや。マリン俺達はその辺のお店に居るから、気が済んだら追いかけて来いよ」
「うふふふっ死ね、死ね死んじゃえーーーっ」
「嫌ぁぁぁぁお母さん助けてぇぇぇぇぇーー」
次は子供にターゲットに移して、同じように顔をおろしている。
辺り一面に鼻やら目やら耳が散乱している。
『顔面おろし』が随分気にいったようで、女を捕まえると片端からおろしていっている。
「うふふふ、ほら貴方も同じよ?」
まぁ、主力はもう居ないから…放って置いても大丈夫だな。
「この宝石良いですわね」
「…綺麗」
「私はあまり興味ないけど…あっ凄い時計がある」
皆で宝石商に居るが誰も咎めない。
当たり前だ…咎める側の人間は皆、死んでいるのだから。
欲しい物は取り放題だ。
酷い事をしているのか?
いや、してない筈だ。
勇者が恐らくしているのだから『元魔界の勇者』である俺やその仲間がやって悪い事は無い。
勇者は魔国に踏み込んでからも旅は続く。
魔国に入った勇者が魔族から『パンを下さい』とか『肉を下さい』とお金を払い買うわけが無い。
そもそも通貨も違うし、もし買うとしたら毒を盛られかねない。
それじゃ『勇者は何をしているのか?』
強盗、殺人のオンパレードだ。
そうでもしなければ『魔王城』にたどり着けない。
つまり、魔国に入ってからの勇者は…魔族や魔王にとって最悪の犯罪者に過ぎない。
それに人間の肉屋には『オークの肉』を始め魔物の肉が並んでいた。
世の中はライトノベルや漫画の様に綺麗な世界じゃない。
どう考えても『勇者パーティ』や魔国に押し入る人間は魔族側から見れば…殺戮者であり、犯罪者だ。
俺が今やっている事は…人間側の勇者が今迄やっていた事となんら変わらない筈だ。
それにオークからしたら自分の仲間を食う種族。
獣系の魔物からしたら、自分の皮を剥いで着ている恐ろしい敵だ。
『弱肉強食』そして『戦争』そう考えたらやり過ぎではない。
食べる為に狩る。
欲しい物があるから殺して奪う。
それこそが『魔族と人間』の適切な関係だ。
「凄いな、腕時計があるなんて思わなかったな、俺も貰おうか」
宝石に興味は無いが腕時計は欲しいな。
「うん、貰っちゃいなよ」
「そうするよ、黒薔薇に黒牡丹、それにお京は綺麗だし、宝石や宝飾品が凄く似合うよ…アイテム収納に幾らでも入るから、選ばないで全部貰っちゃえば良いよ」
「そうですわね、取り敢えず全部頂いちゃいますわ」
「…選ぶ必要はなかった…」
「そうだね、幾らでも入るんだから、全部貰っちゃおう」
まるで三人組の赤か緑のジャケットが似合う怪盗の様に、こちらの三人も全てを異次元に放り込んでいく。
宝石商に高級な洋服店…武器屋に防具や…欲しい物は全部奪い放り込む。
邪魔する奴は、最初は邪眼で石にしていたが…全員食料になるので殺していった。
途中に、騎士や兵士、冒険者が邪魔しに来たが…躊躇なく殺した。
奴隷商にも顔を出し…全員『お肉』になって貰った。
スラムからお店、貴族街まで全てに必要な物はあった。
どんな人間でも『体』は持っている。
誰からもこれは奪える。
片端から殺して行った…流石に逃げ出す者は放って置いた…
あはははっ、醜い者しか居ない。
俺にとって見える全てが化け物…
『勇者』の気持ちが解る。
周りが全部悍しく醜い化け物なんだから…殺しても全然気持ちが咎めない。
何日経っただろうか…
エルドラン王国の王都に人は居なくなっていた。
嫌がらせみたいに、騎士や兵士や冒険者がやってきたが、全員返り討ちにした。
欲しい物は全部、アイテム収納に放り込んでいった。
「誰かまだやり残した事や欲しい物はある?」
「流石にありませんわね」
「無い…」
「食料ももう充分だし、もう何も要らないかな」
そりゃそうだ、もう此処はゴーストタウンだから人も居ないし、欲しい物も無い。
結局、王城から旅立ってすぐ傍の王都で…こんなに時間を使うなんてな…これでもう欲しい物は何もないから…本当の意味での…
旅立ちだ。
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