第24話 勇者が魔王城を攻略するなら俺達は
「すまないが、お金を払うから出て行ってくれぬか?」
俺達が担任の橋本に手紙を渡して、残りの三職(勇者 剣聖 賢者)が逃げた事が発覚(笑)…
その結果、その責任が俺と京子に向かっていた。
どうやら『逃げ出す原因』を探した所…他の同級生から『俺達が脅したのが原因なのでは』という事になった。
『普通に考えて解らないのかな? 危ない仕事だから報酬が良いんだよ。ハイリスクハイリターン…そう言う事だよ。少なくとも私の知っている勇者達は…悲惨な最後を遂げているよ』
あの会話を同級生が聞いていて、告げ口をしたようだ。
「あたいは嘘を言って無い筈ですよ。実際にあたいと一緒に召喚された勇者はもうこの世にいませんし…魔王討伐に成功した勇者は少ない…これは皆が知っている事です」
「確かにそうだ、じゃが、それはこれから時間を掛けてゆっくりと伝えるつもりだったのじゃ…それをお前達が勝手な事を言うから…逃げられてしまったではないか? 本当なら牢にぶち込みたい所じゃが…支度金を用意してやるから…消えろ、顔も見たくない」
「お父様の慈悲に感謝する事ですね! 貴重な勇者召喚を邪魔したのですから…処刑したいのを我慢してお金まで渡す…その慈悲に感謝してこれを持って立ち去りなさい」
「先生も皆も同じなのか? こんな状態で追い出されたら俺は死んでしまう」
これは踏み絵だ。
「そうよ、今追い出されたら困るよ…誰かとりなしてくれないかな」
「すまない…此処は日本じゃないし…俺はもう担任じゃない」
「すまないな」
「ゴメン…それは出来ないわ」
「口は災いの元だよ? そんな事も解らないからこうなるんだよ」
「そうそう」
「馬鹿じゃない…勇者が居なくなってどうするのよ」
これで良い。
嫌われた方が楽だ。
「そう、解りました…出て行きますよ」
「あたいも行くよ」
「なら、それを拾っていくが良い」
お金の入った袋をこちらに放ってきた。
「最後の情けです…拾いなさい」
「要らねーよ…俺は物乞いじゃない…お金が必要なら自分で稼ぎますから…それより、この借りはすぐに返すからな…お前等全員敵だ」
「おい、黒木」
「死なないと良いですね! 勇者であっても死ぬ世界…きっと皆、死んでしまう」
「戯言を…これ以上は許さん…立ち去れ」
「立ち去りなさい…立ち去らないなら衛兵に摘まみださせますよ」
「解ったよ出て行く…だが次に会った時は敵ですからね」
「あんたらも瞳の仲間とは思わない…敵だから…精々長生きして頂戴ね…死んじゃう迄、あはははは」
二人して城から出て行った。
◆◆◆
「お前等、二度と城に顔を出すんじゃないぞ、目障りだ」
雑魚の癖に…衛兵が偉そうだ。
「それで瞳はどうするのかな?」
RPGや小説の勇者はたった数人で『魔王城』と魔王に戦いを挑む。
それじゃ『魔界の大勇者』の俺はどうするべきか?
勇者は『女神の加護』を貰い魔物や魔族と戦い…最後は魔王城に突入して魔王を討ちとり…お城に凱旋して城に行き王から褒美を貰う。
それなら『魔界の大勇者』の俺は『邪神様の加護』を貰い冒険者や貴族と戦い王を打ちとり…魔王城に行き魔王様から褒美を貰う。
多分、それが正解だ。
ならば…
「お京、黒薔薇、黒牡丹…王城を攻略する…敵は人間、敵対する人間は皆殺しだ! 王と王女は確実に殺すぞ!」
「解りましたわ」
「肉、肉肉…殺して食べ放題」
「良いね、そう来なくちゃ…流石『勇者』だね」
「お前等、なにを馬鹿な事を…」
「取り敢えず、死ね!」
俺は拳を振り上げ、門番を殴った。
首が千切れて飛んでいき…ベチャ。
塀にぶつかり潰れた。
門番の持っていた剣を取り、財布をアイテム収納に放り込んだ。
「行くぞ」
「「「はい(ですわ)(…)」」」
「乱心者だ、乱心者がこちらに牙を剥いたぞーーーっ」
俺達の…王城攻略が今始まった。
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