第4話前途多難な戦い

『超回復』の副次スキル、「等価交換」。


そのお陰で最悪から脱した。


再びオオカミのアタックは・・


「オオカミ、起き上がらないね?」


「・・・・」


先程までの元気はなく、私の足を噛んだ直後から、横たわっている。


「何が起こったの?」


オオカミは虫の息に見える。


「ひゅっ・・・・・」


「私の肉で腹を下した?」


敵の高度な偽装。・・など必要ないか。


警戒しつつ近づくと、オオカミは私に反応しない。


「これなら倒せるかも」


落ちていた20センチくらいの石を持ってガツン!


虫の息に見えるのにノーダメージ。


「高ランクな獣の防御力は一流である。そして私は非力であーる」


悲しー。


良くみると、首から上がおかしい。牙も抜け落ちている。


「頭から首まで骨と皮だけ?胸の辺りもベコンってへこんでる。まさか・・」


私は「豪炎」を浴びて落ちた。そしてオオカミに肉をかじられた。


『超回復』で治し、材料に自分の体を消費した。そして縮んだ。


「そこから私が元に戻る材料をオオカミからもらった。そこまでは分かる」


嫌だけど、瀕死のオオカミを触りまくった。


推測は確信に変わった。


どうやら、足りなくなった肉は、オオカミと触れた場所から取ってきたようだ。


「私に最初に触れたオオカミの口がからから。頭部、頸部、胸、肩の肉を一気に奪ったんだ」


口から目までミイラ状。皮膚は骨に張り付いている。


この技能は、そのまんま「等価交換」。


「・・」


「ごめんね。もうあなたの頭はスカスカ。攻撃させてもらうよ」


オオカミの細くなった首を押さえた。


ひゅっ。息が止まって、あっけなく絶命した。


ぽわっ。


「熱い。レベルアップだ。最低でレベル45の魔物しかいないダンジョン。レベル8の私が単独討伐したから、どんくらい上がるんだろう」


怪我をすればするほど、強くなることがあるスキル。


とにかく痛い。そんでも戦いの手段を手に入れた。


高レベル魔物も倒せた。


「ジュリア達への復讐をするためにも、地上に出ないと」



◆◆


しかし・・・


2日後、私はオオカミを倒した場所から200メートルしか移動してなかった。


オオカミ戦の直後だ。


20メートルの大蛇に出くわした。


大蛇は私を絞め殺して食べるため、マキマキしてじっくり待った。


1時間ほどで骨が折れる。『超回復』。骨が曲がる。『超回復』。


蛇の締め付けを押し退け、弾くように縦長になって、私復活。


そして「等価交換」


ただ、私の負傷は小さい。そして蛇はバカデカイ。


「超回復、等価交換コンボ」で削れる肉が少なすぎる。

蛇もダメージを感じていない。


脱出前にマキマキ↓捕まる。また骨折。同じことの繰り返し。


2日後、大蛇が、やっと異変を感じて私を飲み込んだ。


うげ。


胃液は強酸。すごい勢いで身体を溶かされた。


「超回復、等価交換」の繰り返し。


今度こそ、蛇のボディー崩壊。大蛇の胃から始まり、内臓をみんな壊して殺した。


蛇が死んでも胃酸どろどろ。体はジュワ~。


最後は奴の皮まで全部を「等価交換」に使い切った。


骨がアーチ状に残り、間を這って、やっと脱出した。


勝った気がしない。


「うわあ。辛かったよう。2日間も裸で締め付けられて、その後は数時間の胃液まみれ」


ラストは大蛇の青い鱗まで使いきった。


体全体の皮膚が青く光って硬くなっていた。


皮だけ、体を変化させる?


ほんの少し強くなった気がする。気のせいかも知れない。


まあ、冒険者にはリザードマンハーフもいるらしい。

ギリギリセーフだろう。



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