2-6 今回の作戦①

 かといって、行き当たりばったりでは上手くいくかどうか不安なもの

 なので恋愛下手なりにざっと作戦を考えてみたわ


 1.私とアルバート会長とエドモンド副会長の3人でお出かけ

 2.十分楽しんでもらったところで私が理由をつけてふたりから離れる

 3.学園とは違う楽しい場所、雰囲気の中で会長と副会長のふたりっきり

 4.当然、ふたりの仲は急接近


 どう? 「Fランク、レベル0」にしては頑張って考えたほうだと思わない?


 大事なのはお出かけ先


 ただ単に「楽しい」だけじゃダメ

 ふたりをくっつけるのに都合がよくないと


 ということで私が選んだのが「遊園地」


 あっ、そこのあなた、いま「デートで遊園地とかベタじゃん」とか「小学生かよ」とかって思ったでしょ

 ノンノンノン。私がそんな適当な理由で遊園地を出すわけないでしょ

 これには深~い理由があるんだから


 キーワードは「ふたり一緒に」と「ドキドキ」


 みんな遊園地がどんな所かは知ってるよね

 すぐに思いつくのは某ネズミー園とか某映画スタジオ

 あれはテーマパークと呼ばれるけど遊園地の一種

 観覧車や、ジェットコースターに代表される絶叫マシンがあるイメージ


 で、こっちの世界にも遊園地ってのはあるんだけど

 大きさは比べものにならないくらい小さいし

 アトラクションなんかもあんなのに比べるとはっきり言ってショボイ

 アトラクションの遊具も小さいので

 横に並んで座れるのはせいぜいふたり


 そこにアルバート会長とエドモンド副会長のふたり並んで座ってもらいます

 もちろんふたりはどちらも私と座りたがるでしょうけど

 私がなかば強引に言って座らせます

 私はふたりの後ろの座席に

 ああ、美形男子ふたりが仲良く並んでアトラクションの乗り物に収まっているのをすぐ後ろから眺めるだなんて

 BL好きには夢のような光景じゃない?


 もうひとつの「ドキドキ」だけど

 これはいわゆる「り橋効果」とか「り橋理論」ってのを利用した作戦


 ここでいうり橋って、前世の日本にあった瀬戸大橋みたいな巨大なのじゃなく

 山奥の川にかかるような「床板のすき間から川面かわもが見える上にグラグラ揺れる」やつね

 そんなり橋を渡ろうとすると揺れやギシギシ音で恐くてドキドキするよね

 ところが人の脳って不思議なもので

 恐さの「ドキドキ」と、恋の「ドキドキ」の区別ができないらしいのよね


 だからそんなり橋をふたりで渡ると

 →恐さでドキドキ

 →すぐ目の前には相手の顔

 →脳は「自分は相手に恋してる」と勘違い


 デートでお化け屋敷に行ったりホラー映画を見たりするのも多分同じ効果を狙っているのよね、きっと

 リアルでは経験ないからよくわかんないけど


 もちろんこっちのアトラクションのドキドキ度は前世のとは比べちゃいけないレベル

 でもこっちの人間にとっては十分でしょ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る