第2章 Projet Q 始動

2-1 この世界は攻略不可能?

 あのう、ちょっと考えてみてほしいんですけど


 もしもあなたが「普通の恋愛ゲームの世界に転生したら」どうするか


 ただし、ここで言う「普通の恋愛ゲーム」というのは


 ・プレーヤーが主人公キャラを操作して

 ・主人公が攻略対象者たちと恋愛を繰り広げる


 タイプのゲームのことね


 しかも転生先には条件があって


 ・主人公でも攻略対象者でもないけどストーリーにがっつりかかわってくるキャラ


 だったとしたら?


 まず「自分がゲームの世界に転生した」と気づいたら、真っ先にやるべきなのは自身の現状把握はあく

 これには異存がないと思うの

 自分がどのキャラに転生したのかがわからないと、どうもしようがないものね


 では、その次は?


 これも多くの人が賛同してくれると思うんだけど、「主人公と攻略対象者たちを見つける」ことだと思うのよね

 せっかくゲームの世界に転生したんだから、メインキャラクターたちと会ってみたいと思うのが普通じゃない


 ここまではいい?


 じゃあ、その先は?


 ここからは人によって意見が分かれるかもしれないわね


 ただただストーリーの流れに身を任せたい人もいれば

 ゲームの展開を引っき回したいという人もいるかも

 考えが違えば、おのずと取るべき行動も違ってくるものだしね


 なら私ならどうするか

 私なら、まず「ルートの把握はあく」に全力を尽くすでしょうね


 主人公がどの攻略対象者との恋愛ルートに乗っているか


 これがわかれば、この後の展開がある程度予想できる

 自分が転生したキャラが、この後どうなる可能性が高いかがわかる

 それが好ましいものなら、そのまま様子見でいいし

 もしもまずい展開になりそうなら、全力で流れを変えにかかる必要がある


 これが「普通の恋愛ゲーム」の場合


 ところが『うるわしの君たちへ』の場合だと話が違ってくるの


 以前話した『うるわしの君たちへ』の概要を再度ここに載せておくわね


 架空のどこかの王国にある全寮制の男子校を舞台に、王族を含めさまざまな貴族のイケメンたちの間で繰り広げられる、甘くあでやかな物語

 主な攻略対象は5人

 プレーヤーはそのうちのひとりになり、学園生活を送る


 どう? 「普通の恋愛ゲーム」との違いがわかった?


 最大の違いは「固定した主人公キャラがいない」ってこと

 攻略対象者の中のだれかが主人公=プレーヤーなの


 あっ、いまそこの人、「それがどうした?」って思ったでしょ


 どうしたなんて言っている場合じゃないの。重大な問題なの

 だって転生した私からすると「だれがこの世界での主人公なのか見分ける手段がない」んだから!

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