異世界転生、運にステータスを全振りしたら、最強に。

鷹司

始まりの出会い

第1話 転生

 彼の名は、真田二胡さなだ にこ。今回、私達神により、異世界へ転生する者の一人に選ばれた。とはいえ、彼の能力が特別優れていたとか、そういったわけではない。


 転生者を異世界へ送ることが決定した瞬間に死ぬ。異世界へ行くための方法はそれだけだ。


 さて、彼の死因についてだが…。これは言わないほうがいいだろう。

 正月太りを気にし過ぎて餅を食べなかったことをくやみ、今更(7月)になって餅を食ったら、喉に詰まった。それだけのことだ。

 可哀想だから死が確定した時点で呼んでやったが、本人は急なことのため、死ぬのではなく転移だと、勝手に思っているようだ。

 自分が死んだという自覚はないらしい。


「え〜っと、1万をそれぞれのステータスに割り振るのか。ステータスは全部で7種類。体力、魔力、攻撃力、防御力、瞬発力(速さ)、生命力、運。MAXが一万、いや9999か。確か、全振りしろって言ってたよな。どれにしよう」


 誰もそんなことは言っていない。まあ確かに、そうした転生者は多かったが、それにしても言ってない。

 というか、どこかを重視することはあっても、全振りはない。


「攻撃力、いや生命力か?う〜ん、微妙なところだ。やっぱり運かな?よし、じゃあ全振りで、と。残りの1は、うーん、じゃあ体力で。確か全部平均はあるって言ってたから、心配しなくていいけど、旅とかする可能性もあるからな〜。多いに越したことはないだろ」


 重ね重ね誰もそんなことは言っていない。こいつ、ほんとに運がいいのか?設定した瞬間変更は不可能になり、効果が発動するんだが…。そんなことしないぞ?まあいい。


「あ、神様、これでいいんでよろしくです」


 クッ。なんか色々言ってやりたいが、助けるのは禁止だしな…。


『どこに落ちるかは運次第だ。健闘を祈る』

「OKです。魔王とか、倒したほうがいいんですか?」

『誰かが倒せればよい。倒すのは向こうの世界の者でも構わん。何かあれば、手助けしてやってくれ』

「了解です。気楽に旅しててもいいんですよね?」

『…邪魔さえしなければ別に構わん』

「わかりました。任せてください」

『うむ。では行って参れ。死んでから会おうぞ』

「は〜い。ありがとうございました」


 …彼は消えていった。というか、the神の演出そろそろめんどいな。精神的には若いんだけどな。年齢はノーコメントだけど。


 ま、楽しく見物…じゃなくて、監視でもしますか。

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