暗殺3
チラリッと和、勝、兼二はフェンスに寄りかかり一言も発しず拗ねてふてくされている京一を見る。。猛烈なストレスを受けているのか目を閉じ寝ているふりして苛立っており、ダリラ~モードがお怒りモードになりかけていた。
「京ちゃん」
「(怒り混じり)なんすか」
「大丈夫?」
「(苛つきながら)じゃねぇーす」
「だよね」
あと一分ほどで始めます。スタッフの声に和は京一の手を掴み胸の前まで上げると暗示をかける。
「京ちゃん、勝と兼二よりも相手をうまく仕留めてくれたら長期休暇とってあげる。だから、今日は頑張って暴れてみようか」
抱き寄せ、頭を撫でると悪魔は言う。
「皆、京ちゃんにあげるから
それに京一はらしくない笑みを浮かべた。
「時間無制限の殲滅戦。どちらかが無くなり次第終了とします。スリー、ツー、ワン――スタート」
スタッフの声とブサーで勝が先行で駆け出すと本来ならダメだが障害物を飛び越え、ガラスなしの窓を手をつきフィールドを駆け回る。止まったら死ぬ――そう自分の中で言い聞かせているのかスピードは緩まず、索敵・拡散目的で敵を誘き出す。
敵陣スタート時点近くに行くと薄暗い空間に針指すような鋭い視線。見つけた、と突っ込むふりして右に踏み込む。すると、頬をする寸前にBB弾。すぐさま体勢を低くし、一旦その場を離れるとパチパチパチッと数えきれないほど壁や障害物に当たった。
「和、セミ」
骨伝導ヘッドフォンで言う。
『フルじゃないの?』
ありゃ、と少し間抜けな声。続けて、二階の通路にて寝転び対物ライフルを構えている兼二。
『此方も確認。切り替え式のアサルトライフル。フルオート(単発)・セミオート(連射)変更可能で撃ち方によるが弾切れ狙うか、突っ込んで格闘。どっちかを推奨。はめ殺し目的かは知らないが単独行動してはいるが意外と距離が近い』
堅苦しくもハッキリした内容に、御意、と返す。尚、京一からの連絡はなし。
「勝の旦那」
「うッびっくりさせんなよ」
突然の声に振り向くと走り回る勝を追いかけてきたのかムッとした京一。手には銃は無く代わりにメンケンサックとナイフが合わさった独特な武器。
「それ、マジもん?」
見慣れぬものを指差すと頷き手話。
『メンケンサックとナイフが合わさった変なの兼二から貰ったんで愛用してやす。折り畳めるんでナイフ隠せるんす。スゲーでしょ』
いつもと違い楽しげに見せびらかす。雰囲気の違う京一に勝は歯を見せ笑う。
『
「いいぜ。やってやろうじゃねーの」
進展のない静かなフィールドを駆ける二つの足音。一つは乱暴で力強く。二つ目は力はないが時々消える弱々しいもの。
「兼二」
『射程内だ。和、お前は動かないのか』
スタート時点から一切動かず建物に凭れ、火のついてないタバコを咥え待つ和。一人で暇そうに上を見上げ、無意識に笑う。
「別にサボってるつもりはないよ。
それがあの二人に聞こえていたのか。パチパチッと四方八方からBB弾が障害物に当たる。駆け出し、待てックソガキ、と怒鳴る声は勝か。タンタンタンッとリズム刻み靴音を発て、障害物を飛び越え掛け上がり追い掛ける。
それとは真逆の方向で京一が煽っているのか集中的に弾が狙いを定め弾かれる音。両者、一対一もしくは一対二か。
「兼二、やっぱ動く。間近で観て聴いた方がゾクッとするよね」
『了解した』
頭上から物音が聞こえ、顔を向けると対物ライフルを担いだ兼二が飛び降り、綺麗に受け身を取る。直ぐ様ライフルを構えるが銃身を盾に飛んできたBB弾を弾く。本来のルールなら銃は体の一部。ヒット扱いとなるがわざと無視。
そこか――。
ライフルを投げ捨て駆け出すとコートからトイガンではなく安全装置のついた護身用の
「フリーズコール」
力強くも脅す兼二の言葉にやはりhitの声はなく。カチッと小さな音の後、パシュッと音は抑えられてるが風を切り裂く音に声にならない声。遅れて駆けつけると青年の頬を銃丸が掠り血が滲む。
「そ、それ……ほん、もの……」
驚きのあまり腰を抜かし銃を指差す。だが、チョロロ……と妙な音に股を見るとお漏らしか。青い照明がうっすらと反射。
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