第2話投稿映像(2)

次に椿はビデオテープの映像をテレビデッキに入れて映像を見た。

映像は四分割された防犯カメラの映像、手紙によるとあのクリスマス会の後に子ども会で「この建物には、何かいるんじゃないか?」と会議の議題になり、その何かを突き止めるために会員でお金を出しあい防犯カメラを購入し、二十四時間撮影したのだという。

撮影日は一月十四日、上段左画面は一階の自習室を撮影しており、そこで子どもたちが読書や勉強をしたりするという。

すると部屋にいた子どもがふと自習室を出て少したった時、前触れもなく本棚から本が一冊ドサッと落ちた。

そしてその後すぐに、その子どものものらしきふで箱が突然机から落ちた。子どもが再び自習室に戻ると、その光景におどろいている様子だった。

そして映像が終わる直前、椿は何かに気づいて動画を巻き戻しにした。

「どうしたんですか?」

「ちょっと、女の子が映っていた。下段右画面に注目して」

それは午後十一時を回った頃、一階のトイレ付近を映した映像に映りこんだ。トイレの向かい側にあるドアの窓に、少女の顔が小さく映りこんでいた。

「これは何かありそうだな・・・」

直感で何かを感じた椿は、二本目のビデオテープを再生した。

撮影日は二月十二日、手紙によるとこの日はバレンタインデーの手作りチョコを作るイベントが行われていた。

午前十時四十分、下段左画面のキッチンを映した映像、チョコを作る子どもたちを見つめるかのように、女性らしきうっすらとした存在が映りこんでいた。それはまるで母親のように見える。

そして数時間後の人がいなくなった午後七時二十分、二階へ階段を上がる男の後ろ姿が映りこんだ。それから三十分後には、再び少女とおぼしき姿が一階へ階段を降りていく。

「まるでここに住んでいるかのようだ、これはドキュメンタリーの予感がしてきたぞ」

この建物で度々起こるポルターガイスト、そして少女とその両親と思われる謎の霊。

椿はこの出来事を調査し、ドキュメンタリーにすることを決めたのだった。





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