黄色いごはん

スーパーで、

何気なく

パックに入ってある大き目の高菜を買った。

家に帰って冷蔵庫に入れていた

事に三日間ぐらい忘れていた

気付いた時はまだ

なまっていないか直ぐに思いったった


なまっている事はなく

大き目のパックだったので

全部食べられないと思い

どう云う風に料理に使うか考えた

「高菜の炊き込みご飯にしよう」

そうして

米を研ぎ

水を入れて高菜を入れた

釜にタイマーで夜だったので

寝る前次の日の朝五時にセットした次の日は昨晩寝るのが早く四時頃に目が覚めた

そして

朝眠たげな頭で思い出した朝五時に炊飯ジャーをセットしていた事を

高菜の炊き込みご飯が出来ると


眠たげの中炊飯ジャーは音を立て出した

湯気を出し

高菜の匂いがする朝


自分が六歳の時両親は離婚した

母と暮していた私は一度三十歳の頃

父の住んでいるアパートに会いに

行ったことがある

その時

会話らしい話は無かったが

父がカップラーメンでも食べるかと言った

事を思い出す、高菜が入ってある

カップラーメンだった。

父が

「高菜が入っていて美味しいよ」

そう言ってくれたが私は

「いやもう帰るからいいよ」

その言葉が最後だったかなと思う

父の七回忌の年に

その時の事を思い出していた

何気なく思いだした朝

高菜のカップラーメンでは無いが焚きあがった

炊飯ジャーを開くと

湯気と一緒に高菜の匂いと

面影のような

黄色いごはんだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る