ウルトラマリンブルー

うざいあず

プロローグ

0-1

 俺は初めてが好きだった。

 初めての出来事や初めての事は、これから起こる苦難や理不尽を忘れさせ、ただ面前に広がる希望だけを拾い上げる。

 初めては青の味がする。

 愉快で、痛快で、胸の奥まで吹き抜ける爽やかな味。

 初めてノートをめくったとき、初めて使うシャープペンシルをノックしたとき、初めてのことを学ぶとき、初めてプレイするゲームを起動させたとき、初めて読む小説のページを開いたとき、初めて見る絵画に心奪われたとき、初めて絵の具を扱ったとき。

 入学式。

 俺は初めて恋をして、初めてのキスをした。

 キスは青の味がした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る