学校一の美少女に告白したら、その正体が昔俺が振った幼馴染だった件

タカ 536号機

第1話 告白


「ふぅ」


 俺は学校の体育館裏にてゆっくりとはやる気持ちを抑えるように胸に手を当て息を吐く。しかし、その手も緊張の為か震えが止まらず胸ごと振動してしまう。

 これでは逆効果なので俺は慌てて手を離す。

 何故、俺がここまで緊張しているのかと言われれば至極簡単で俺が今からここで告白を行うからである。


「っにしてもここまで緊張するもんなのか……」


 俺は未だに震える手を見ながら少しでも自分を落ち着かせる為に声に出すことで今の状況を脳に理解させる。

 俺に今まで告白するなどいった経験はない。人間誰しも体験がないことは怖い。そんなことは分かりきっていたがここまでなるとは。


 まぁ、相手が相手だからかもしれないが……。


「そもそも相手にしてくれないなんてことも___いや、それはないか」


 俺は今から告白しようとしている相手……北川きたがわ玲奈れいなさんのことを思い浮かべながらそう呟く。

 俺がここまで緊張している要因でもある北川きたがわ 玲奈れいなさんとはこの学校一の美少女とも囁かれるほどの可愛さを持った生徒だ。


 そんな彼女は明るく誰に対しても優しく、成績も優秀というまさに非の打ち所がない人物だ。これで緊張しないという方が無理があるだろう。彼女の性格上、相手にすらされないというのは考えにくいが振られる可能性が高いのもいなめない。

 そもそも俺が釣りあえるような人物ではないのだ。


 しかし、俺は今告白をするつもりである。分かってる。頭では理解している。俺では無理だって……彼女に釣りあえないって。でも、初めての恋だっ。

 恋というのには単純な一目惚れだった。その日から自然と見るたびに目で追うようなっていた。少しでも知って欲しくて勉強や運動にも力を入れるようになった。それは生まれてこれまで恋なんて無関係だった俺にとっては初めてのことだらけだった。


 彼女の笑う顔を見るたび心臓が高鳴った。

 挨拶されると幸福感で一杯になった。

 ……そして気がつけば告白をしようとしていた。意味なんてないのかもしれない。答えなんて一つなのかもしれない。

 それでも伝えたくて。ただただ、好きだと一言伝えたくて……。


 俺は今ここに立っている。


「ご、こめんね。待たせて〜」

「こっちこそ、貴重な時間を奪ってしまって申し訳ない。というか約束の時間までまだだし」


 しばらくすると北川さんが少し謝りなから姿を現した。俺は冷静を取り繕いながらも心の中では大慌てである。

 ……ため息をついてしまいそうなほど今日の北川さんも可愛く綺麗である。


「そ、それで用事って?」

「あ、あぁ、あんまり時間とらせるのもアレだしさ……早速言わせて貰うな」

「う、うん」


 恐らく北川さんは俺が今日なにをする為に呼び出したのか分かっている。彼女がモテないはずがなく今まで何度も告白されたのは知っている。というか彼女ほど注目を集める人物が告白されたとなれば自然と耳に入ってくるものだ。


 そして今日俺が呼び出した体育館裏というのは告白する場所としてはベタすぎるほどの場所。北川さんほどの人物であれば俺がなにをしようとしているのか想像するのは容易いのだろう。

 その証拠に、北川さんのほっぺはいつもより少し赤い気がした。


 緊張はする。手だってまだ震えてるし、足も始まっている。でも……それでもこれだけは伝えるって決めてる。

 俺は改めて決意を固めると拳をギュッと握り腹に力を入れて声を出す。


「そっ、その、俺は北川さんのことが好き……なんだ」

「っっ〜〜!? う、うん」


 北川さんは少し驚いた顔をしながらもやはりある程度予想していたのか俺の言葉に頷く。


「その……最初は一目惚れでイイなって思っただけだったんだけど。みんなの為にいつも全力だったり、誰よりも頑張ってるはずなのに誰よりもみんなことを褒めてたり……そういうところを見てたら自然とその好き……になってたんだ。だから……もし、良かった付き合ってくれないかっ」


 途中何度か言葉を詰まらせながらも最後まで言い切った俺は震える手を北川さんの前に差し出して頭を下げる。心臓の音はさっきとはうって変わって止まっているんじゃないかと思うほど静かで聞こえてこない。

 喉元まで汗が伝ってきており、俺の緊張感は最高潮までに達していた。


 時間にしてみればそれはたったの数秒だったのかもしれない。しかし、俺からしてみればそれは永遠のような時間が流れる。

 そして次の瞬間俺の差し出した手が柔らかな感触に包まれた。


「っ!?」

「そ、そのよろしく……お願いします」


 俺が慌てて顔を上げるとそこには嬉しそうにはにかんでいる北川さんが目の前にはいて……その瞬間、俺の心臓は限界を超え爆音をかき鳴らす。


 無理だと思っていた。振られると思っていた。それでも彼女は応えてくれた。

 俺は信じられないような気持ちに呑まれつつも、徐々にこれが現実だと言うことを認識し、自分でも体温が上がっていくのを感じる。


「うん、本当によろしくね。よっぴー」

「はっ?」


 しかし、次の瞬間に彼女から出た言葉に俺は固まる。何故なら俺をその呼び方で呼ぶのは世界で1人しかいないのだから。







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 次回「正体」


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