第15話①

 デートを終えた後、俺ははーちゃんとは家で一緒に夕飯を食べて自室に戻ってきた。そして今日一日を振り返っていた。


 はーちゃんを待たせてしまったこと、予定よりも1時間も早くデートが始まったこと、ショッピングモールに着いただけで嬉しそうにしてくれたこと、好きな下着を選ばされそうになったこと、飲食店ではアーンに間接キスまでしたこと、映画館でははーちゃんが号泣していたこと、ゲーセンで俺のために頑張ってくれたこと。


 その全てで隣にはーちゃんがいてくれたこと。それだけで俺はどんなことでも楽しかった。だけど、もう高校生の俺たちが幼馴染みというだけで一緒にいるのは無理だと分かっている。今日も香織のおかげでデートに誘えたし、引き受けてもらえたということも理解している。


 だから俺はもう一度はーちゃんに告白することを決意した。幼馴染みなんかではこの溢れ出る気持ちを抑えきれない。自分の心を偽って幼馴染みのままでいるよりも、たとえ玉砕することになったとしても本当の気持ちを伝えたい。


 そう決意を新たにした俺は決戦日をおよそ3ヶ月半後の夏祭りの日にした。それまでにはーちゃんに振り向いてもらえるように全力で行動する。それでも無理だったらきっぱりと諦める。…だから、首を洗って待ってろよ、はーちゃんの好きな人!絶対に俺がはーちゃんの彼氏になってみせる!


 そんな彼を見つめるようにクマのヌイグルミがベッド脇に座っていました。

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