三つの罰に縛られて
柳鶴
出会い一つ
歴史という名の昔話
「母上。どうして私たちの家訓は厳しいのですか?」
幼き日の白噬明は寝る前のおぼろげなで温かい光の中、寝台へ腰掛ける母親に小さな疑問を言った。母親は自身の脚にしがみつく温かく愛らしい頬をそっと撫で、小さく笑う。
「うーん、そうねぇ」
彼女は子供の頬をツンツンと突いてみたり、揉んでみたりしながら唸る。
「じゃあ、昔話をしましょうか」
「うん!」
「そう言うなり白噬明は寝台へよじ登り彼女の横へ座る。それを確認すると彼女はゆっくりと話しだした。
昔々のあるところに、凄く強い仙人さんが居ました。その仙人さんはとても強いので、四人の弟子さん達がいました。その四人の弟子さん達も頑張って修行してやがて仙人になりました。四人の仙人はとても仲が良く毎日一緒に妖怪退治に出るほどでした」
「けれどある時、その中の一番弟子さんが三番弟子を倒そうとしました。彼はお師匠さんの仙器を盗んでいました。三番弟子を倒そうとしていることに気づいた他の二人は一番弟子に立ち向かいました。その戦いはでは山は崩れ、天は裂け、大地は割れるような激しい戦いでした」
「三人では耐えられないと思い、彼らは師匠に助けを求めるための花火を放ちました。全てが崩壊する前に師匠である仙人は駆けつけました。お師匠さんは言いました。どうして三番弟子を倒そうとした? 彼は、怒っているように見えましたが、悲しんでいるように見えました。けれどこれに彼は答えませんでした。噬明くん、悪いことをしたらどうなると思う?」
質問をされると白噬明は俯き眉の間に小さなシワを作りながら一生懸命に考え、答えを出した。
「……罰を受けなきゃいけないです」
「そうよ。彼が受けた罰は三つ──」
一つ、自身の仙門を開き、多くの修士を導くこと。
二つ、強い怨念が染みついた呪剣の管理をすること。
三つ、呪詛をかけられること。
その呪詛は人を傷つけられず、傷つければ寿命が減るという者だった。例えそれが言葉だとしても、呪詛はそれを許さない。
天変地異が起きかけたあの事件から数百年後──。
四つの仙門は有名になっていた。
二番弟子の仙女が開いた仙門。
三番弟子の仙人が開いた仙門。
四番弟子の仙人が開いた仙門。
一番弟子の仙人が開いた仙門。
今では百おもある仙門をまとめているのは四大仙門とよばれるこの四門だった。そして、この四門のおかげで人々は
しかし、平穏に暮らせていない者達がいた──。
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