死にゆく私へ ~ノブレス・オブリージュ~ 3

この瞬間の映像は記録され、クリマ水晶で王国内全土に流された。



口から血を流し、顔色が蒼白く変わっていく。


「死刑は執行された。だが、メリッサ嬢は最後まで『私は何もしていない。』と主張していた。私は王家の名にかけて、この一件をこのままで終わらす気はない。真相を追及するつもりだ。何か手掛かりを知っている者は自ら名乗り出る様に。事件の発端となったイジメや王太子殿下の御子を害した時の目撃者には、後で取り調べを行う。以上だ。」


クロードはそう言ってクリマ水晶の通信を切った。



作戦決行の日まで、後僅かしかない。クロードは、出来るだけ証拠を固めた。神器と魔力の多用は致し方ない。メリッサを追い詰めた奴らには全員地獄を見せてやる。



   ***




今日は王家が主催のダンスパーティーだ。王族、貴族が一同に会する絶好の機会。この日を逃す手はない。今日こそ決着を付けてやる。


ダンスパーティーが盛り上がりをみせる中、王太子は男爵令嬢のミーナをエスコートして入場してきた。

一斉に注目を浴びる中、満面の笑みで

「今日は、皆に発表がある。メリッサの事は大変残念に思うが、私は真実の愛に目覚めたのだ。私はミーナとの婚約を宣言する。」王太子は声高に言い放った。


国王の許可を取ってはいないらしい。父上の動揺が隠しきれていないから・・・やはり、馬鹿王太子だ。



私は人混みを掻き分け、兄の前に進み出る。

「王太子である兄上とミーナ嬢に、お喜びを申し上げます。」


兄と男爵令嬢は、満足気に頷いている。

「クロード殿下、ありがとうございます。」令嬢が一段高い位置から、私に礼を述べた。



「ちょうど良い機会ですので、私から報告がございます。先日のメリッサ嬢の死罪についてですが・・・」



「そんな事は、今話さなくても良いだろう?」と兄が説明を遮ろうとする。



私は両手でパンパンと音を鳴らして、皆の注目を集め困った様な顔で解説を始めた。


「それが・・・今でないと意味がないのです。お集まりの貴族の方達にも聞いて貰いたい。まず、メリッサ嬢は男爵令嬢にイジメを行っていないと最後まで訴えておりました。王太子のいう目撃者に聴取したところ、お金で雇われたと申す者が現れました。」


5人の貴族らが拘束されて跪いている映像が、クリマ水晶から流れた。

「これは、明らかなる不正行為です。誰に金を貰っていたか、追求すべき案件でしょう。」

貴族達の顔が映し出されると、エロールの額からは汗が流れ出ている。



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