第22話 最強VS最強

「3回戦からは1試合ずつですよね?」


「うん。そう言ってたはずだよ。エクスくんが最初だね。」


「そうだよ。すごい楽しみだ。なにせ世界大会優勝者と戦えるからね。」


「ああ、確かに。なんかすごい楽しみって顔に書いてますよ。まあ私はどちらかと言うと長い付き合いの蘭さんを応援するつもりだけど頑張ってね。」


「ひどいなぁー。2人とも応援してくれてもいいんだよ?」


「あーら、私の話かしら?」


「あ!蘭ちゃん?お久〜!ゲームの中ではリブラだよ〜!」


「久しぶりと言うほど会ってない訳では無いけれど、リブラちゃんね。こっちでも仲良くしましょうね。そして、あなたが次の相手ね。いい男じゃない。」


「それはどうも。ところでじゃんけんしませんか?」


「あら?いきなりね。リブラちゃんに色々教えてもらったのね。」


「えへへ。でもじゃんけんの説明以外何も言ってないから安心して!」


「もちろん信用してるわよ。それじゃあじゃんけんしましょうか。」


「おや、してくれるんだね。」


「それくらいお遊びよ。本当なのかも気になるんでしょう。はいじゃーんけーんぽん。」


「はい。⋯⋯⋯偶然か必然かは試合の中で決めようかな。」


「あら?疑い深いのね。でもそういう男も好きよ、私。」


「はは、いい試合にしましょうね。」


【3回戦の準備が整いました。2名の選手は準備いいですか!】


「もちろんよ。」


「もちろん。」


【それでは転送を開始します。】


「蘭ちゃん頑張ってねー!」


「僕はエクスくんを応援してるよ。」


「リブラちゃんありがとうね。頑張ってくるわ。」


「ありがとうグリモワール。必ず勝ってくるよ。」


「⋯⋯じゃんけんで一応本当って証明はされたけど偶然ってことは無い?」


「まあ戦ってみれば分かるんじゃない?エクスさんの顔で分かるだろうし。」


「だねぇ。」


*****

(エクス、蘭side)

「準備出来たよ。」


「こっちもよ。仲良くしましょうね。エクスちゃん。」


「ちゃん呼びされたのは人生で初めてだよ。なんか可愛いね。」


「私は誰であろうとも○○ちゃんって呼ぶわよ。」


【それでは第3回戦1試合目を始めます!】


「まずは様子見からだ。」


「あら、大きいわね。じゃあ私は小さい方にしようかしら。最初はやっぱり「受け」よねぇ。」


「随分余裕みたいだね。」


「剣筋がわかりやすいわよ。ある程度剣を習った人によくある事ね。技を使っても同じよ。やってみる?」


「もちろん。聖騎士流『聖天波撃』。」


「それ、1回見たやつよね。射程はだいたい7メートルくらい。威力減衰もありそうね。1回当たってみようかしら。」


「すごい対応力だね。尊敬するよ。」


「あら嬉しい。でもどうせなら新しいあなたが見たいわ。」


「そうだね。さすがに世界大会優勝者に出し惜しみは無理だね。仕方ないから今出せる最大の力であなたに挑むよ。」


「あら嬉しいわ。なら私も応えなきゃいけないわねぇ。まずは来なさい。その後「攻め」てあげるわ。」


「それは楽しみだ。聖騎士流武具奥義『聖蓋寂静-落-』。」


「すごいわ。綺麗よ。そんなに綺麗なら⋯⋯⋯」


「⋯⋯虐めたくなるじゃない。天術『桜ノ天』。」


「『落ちろ』。」


「!?いきなりびっくりするじゃない。どうせなら『桜ノ天』じゃなくて唇を奪いなさいよ。」


「はは、このゲームじゃキスはできないでしょ。」


「それもそうね。残念。天術『臨海』。」


「はは、花の次は水か。すごい綺麗じゃないか。思わず見とれてしまうよ。まあ準備は終わったんだけどね。聖騎士流槍術『空轟』そして展開『桜ノ天』。」


「あらあら、『臨海』を弾くのも驚きだけど私のスキルを奪って自分のものにするなんてね。でも、それは元はと言えば私のよ?どんなものかも完璧に⋯⋯⋯」


「理解してるだろうね。恐らく『桜ノ天』は攻撃するものじゃない。でもそれでいい。」


「どういう⋯⋯」


「桜よ、切り裂け。」


「くっ⋯⋯よ⋯『夜帳』。危ないわねぇ。でも情報をくれたのは間違いだわね。」


「さすが。まさかあの会話から刹那に反応して最適解を出すとは。少し優しかったかな?」


「そうね。ノーヒントくらいがちょうどいいかしら。」


「なるほど。だったら次で終わらせようかな。」


「あら残念。もっと一緒にいたかったのだけど、仕方ないわね。」


「別にこの戦いが終わってもバイバイってわけじゃないでしょ。リブラさんもいるんだしこれからも仲良くしようじゃないか。」


「それは嬉しいわね。」


「さて、おしゃべりはここまでにして戦いを続けようか。武装展開『荒神』。」


「槍に剣に私の桜、凄い光景ねぇ。」


「師匠が言うにはまだまだだけどね。これしかできてないんだ。」


「あら、それはどっち?」


「もちろんこっちさ。それにしてもこれを対処できるかな?」


「もちろんやってみせるわ。天術『鋭風塵牙』『氷蓮花』。」


「すごい技術だ。風で桜を飛ばして氷で武器を凍らせる。攻撃のチャンスはあったはずなのに⋯⋯わざとかな。」


「あそこで無理に攻撃しても間に合う保証はないのよ。だから回避に専念させてもらったわ。」


「なるほど、そこまで頭が回ってるとは。流石に信じざるを得ないね。」


「あら、まだ疑ってたのね。」


「でも勝負は僕の勝ちさ。『貫け』」


「!?⋯⋯⋯桜の花びら全部がナイフみたいになるのは予想してたわ。だからこそあそこで余裕を持たせていたのだけれど。まさかあえて風に飛ばされた振りをするなんてやるじゃない。私が読み合いで負けるなんていつぶりかしら。」


「あなたがここまで読んでくると思っての策ですよ。」


「つまり私を信じたというわけね。対戦相手を信じた行動、ただ読むよりも美しいわね。」


「そうだね。それじゃあ対戦ありがとう。『桜ノ天』」


「ええ、こちらこそ楽しかったわ。」


【試合しゅーりょー!3回戦第1試合はエクス選手の勝利です!】


*****

(リブラ、グリモワールside)


「なんか2人ともゲームの進み具合おかしくないですか?このゲームリリースしてからあんまり時間経ってないですよね?」


「そんなもんなんじゃない?レベルが上がらない以上次にあげるのは技術だからね。運もありそうだけど。」


「私、あんなふうになるイメージがつかないんですけど。」


「それは同感。」


「それにしてもエクスさんも蘭ちゃんも楽しそうだね。すっごい笑顔で戦ってるもん。」


「そんな笑顔かなぁ。でも心の底から楽しんでるとは思うよ。」


「そうですね。私が言いたいのはそんな感じです。あ、桜だ。綺麗だなー。って消えたし。返せ!私の桜を返せ!」


「別にリブラさんのじゃないでしょ。似た感じのを見たことあるから多分もうすぐ出てくるよ。」


「え、そうなんですか?うわっ今度はすごい波だ。津波みたい。」


「壮観だねぇ。」


「いくらエクスさんでもこれは無理でしょ!っと思ってたら余裕で耐えますね。」


「技の数なら1番だろうしね。それくらい耐えるさ。ほら桜も出てきたよ。」


「うわ〜綺麗だなぁそういえばさくらんぼってあれ桜からできるから桜って入ってるんですよね?でも桜の木にさくらんぼって無くないですか?」


「普通に生えてる桜は観賞用の桜だって聞いたことがあるよ。多分さくらんぼはさくらんぼがなる品種があるんだろうね。」


「そうなんですね。ところでなんでいきなりさくらんぼの話になったんでしたっけ?」


「そろそろ君に恐怖を抱きそうだよ。」


「あ、あれ見て!一気に決めにいってるっぽいよ!」


「ほんとだね。桜に剣に槍に氷に風にもはや世紀末だね。」


「もう量がありすぎて何が何だかわからないですよ。」


「戦いの次元が違うね。あ、蘭さんが上手く耐えたようだよ。」


「ホントだ!こっから勝って!行けるよ蘭ちゃん!」


「いや無理だね。花びら見てご覧。」


「ん?あー!動いてる!というかよくよく見たら地面に突き刺さってるのもありません?」


「多分桜のようで違うやつなんじゃないかな?」


「うーん。なるほど?」


「分からないなら分からないでいいのに。多分あの花びらは短剣見たいに鋭くて遠隔操作できるんじゃない?」


「卑怯すぎません?勝ち目ないですよそんなの。」


「初見で対応は難しいだろうね。あの人はやってたみたいだけど。」


「まあ蘭ちゃんですし。それくらいやれるでしょ。さあ!そこから一気にドーンと頑張れ!」


「あれ?避けると思ったのに当たったね。」


「え〜!蘭ちゃん頑張って!負けるな〜!」


「ああ、違和感はあったけど風で飛ばされたのはわざとだったか。」


「へ?」


「遠隔操作できる剣が凍らされるならまだしも風程度で落ちるなんてないでしょ。それみて効果が切れたか想定以下だったから意識が逸れてしまった。傍から見てもすごいよ。」


「言ってること分かるのにやってる事の意味がわかんない。蘭ちゃんおつかれ。」


「そうだね。全部がハイレベルだったね。」


「まだ3回戦ですよね?準決勝も決勝も残ってますよね?」


「そうだね。異常だね。それじゃあリブラさん倒そう大作戦考えるから1度さよならしておこうね。」


「相変わらずのネーミングセンスですね。それじゃあまた試合で!」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ここまで遅れたのは引越し作業と原神とプロセカをやってたからです。ごめんね。


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