夢の中で、笑って

水月つゆ

幸せとは


 ◇


 僕、森屋健もりやたけるは、今年で二十九歳。早くに家族を亡くし、高校生までは親戚に育てられた。その大きな寂しさが今でも深く刻み込まれていて、僕は人と深く関わろうとしてこなかった。


 けれど、そんな僕にも好きな人ができた。


 両想いになって、付き合うことができて、そして四年前に好きな人と結婚することができた。


 三年前に「子どもができた」と告げられる。生まれて初めて、誰かを〝守りたい 〟と思った。強く強く思った。


 僕たちは家族三人で、幸せな日々を送っていた。それはこれからも続くものだと思っていた。



 ……そのはず、だったのに。

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