シェフのきまぐれ短編セット
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飼い主との思い出
まだ子犬でこの家に来た頃は、ご主人様も子供だった。
よく一緒にイタズラしては、ご主人様のママさんに怒られたものだっけ。
ご主人様が幼稚園や小学校に通うと、昼間は寂しくて、ご主人様が帰ってくると玄関まで毎日迎えに行った。
散歩の時もお互いに行きたい方向が合わなくて、よく引っ張り合いにもなったな……。
同じように歳を取っていくかと思ったけど、15年経ったら自分の方はすっかり老いてしまい、ご主人様はまだ人生の春の季節みたいだ。
最近は、ガールフレンドができたみたいで、たまにしか構ってくれない。
散歩も今ではパパさんかママさんが連れて行ってくれるようになった。
昔はあんなにいろんなところを散歩したかったのに、今では家の周りを少し歩いただけで疲れてしまう。
なんで今日は急に昔のことを思うのだろう……。
今日は寒いわけではないが、毛布を掛けてもらい、ご主人様もパパさんもママさんもみんな自分の近くにいてくれる。
最近はあまり触ってくれないご主人様が昔みたいに撫でてくれている。
あれ、何で泣いているのだろう……?
何か嫌なことでもあったのかな?
ご主人様は子供の頃もよく泣いては自分にしがみついてきたけど、今日は何だか悲しそうだ。
でも、自分は今日はなんだか凄く嬉しい。
今日はみんなが周りにいてくれるし、ご主人様と過ごした昔のことがたくさん思い浮かぶ。
この家の人たちが優しくてよかった。
散歩で他の犬に会うと、中には酷い飼い主に飼われている奴もいたのを覚えている。
ペットショップでご主人様が自分が欲しいとパパさん、ママさんに駄々をこねてくれたおかげだ……。
今日はみんなが自分の名前を呼んでくれている……。
パパさんもママさんも何だか泣いているように見えるけど、どうしたのだろう?
今日は何だか疲れた、それに凄く眠い。
でも、みんなが
このままちょっと眠ろうかな……。
この家の家族で本当によかった……。
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