第38話

「お、お義父さん……もう飲めませんって……」

「なにを言ってるんじゃ!これからだ!あはは!」

俺は今桜のお父さんに酒を死ぬほど飲まされている。なぜこういう状況になったかというと……












「2人のことは認めよう。だが……我が家はお酒の文化かあるのじゃ!だから智くん!君には飲んでもらうぞ!」

俺は酒がめっぽう弱かった。性格、成績などについては桜の両親2人は快く受けいれてくれると言ってくれた。たしかに桜と一緒にいたとき桜は異常に酒に強かった。こればかりは家系の血筋か……

「蓬莱さん、大丈夫?」

「らいじょーぶ〜」

「あはは!よくここまで着いてこられた!認めよう!」

お義父さんが言った途端俺はプツリとスイッチが切れ眠ってしまった。















桜side

「もう……ったくこの人は重いんだから……」

私は蓬莱さんを担いで敷布団に寝かせる。ここは私が使っていた部屋。ピアノも残っているし、テレビもある。

「ありがとう……私のために」

無邪気に眠る顔は本当に少年のよう。お父さんもお酒で眠っているから私とお母さんでご飯の片付けをする。

「蓬莱さんは本当にお父さんそっくりだわ」

「え?」

「だって、あんな無鉄砲ボーイはお父さんも若いとき一緒だったから」

「そう、だったんだ」

「そうね。実はね私たち政略結婚なのよ」

「え!?うそ!」

それは知らないことだった。でもお母さんの時代じゃ当たり前か。

「だけどね、本当はお父さんが私を前から好きだったって…最初はもちろんアプローチされてたけど、最終的に政略結婚にでてね、」

「うんうん」

「お父さんはイケメンで、なんでもできて、だけどいっつも我慢するの」

お母さんはニコニコしながら喋る。もうかなりいい年のはずなのにとっても可愛く見えてまるで恋する乙女みたい。

「だから、私がお父さんにとって自由な姿でいられる場所を作ろうって思ってね。」

それからも私たちは水洗いをしながら2人で恋バナをした。

「蓬莱さんのこと大切にしてね。」

「智さんは私が守るから!」

これは覚悟であり、幸せになるための宣言。夜空に流星がひとつキラリと光った。

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