第36話

俺たちの日々は幸せそのものだった。今日も俺と桜はスーパーで夕飯の食材を買っていた。

「智?」

そこには姉ちゃんがいた。

「彼女さん?」

姉ちゃんはそう言うと俺の隣にいた桜はペコッとお辞儀をし、

「ちょ、智来て」

俺と姉ちゃんは目を合わせ俺は桜に少し待つようにと言うと

「あんた、お母さんに彼女のこと言ったの?」

「言ってない」

「あのお母さんだからね、気をつけて」

「おう」

俺たちの小会議が終わると桜の元へ戻り














「今度俺の親に桜のこと紹介したいんだけどいい?」


















後日俺は実家に電話し、桜を連れていくことになった。
















「すっごく緊張します……!お菓子これでよかったかな……」

と桜は俺の家の前で言う。そんな桜が可愛くて俺は頬を緩ませる。

「大丈夫。なにを言われても俺が守るから」

「智?あ、その子が桜さん?」

母さんがちょうど家からでてきた。

「こ、こんにちは!私……」

「桜さんね。上がってちょうだい」

母さんは俺たちを家にあげた。こんなに素直なんて俺は怖くて仕方がなかった。

「おぉ、智来たか」

「父さん!?」


















そこにはベッドに横たわっている父さんがいた。

「父さん!」

「すまねぇなぁ、ゲホッ!」

父さんが咳をするとそこには血が

「ちょっと、あなたなにやってるのよ。」

「すまねぇなぁ、桜さん智のことよろしく頼むよ」

血を出しながら桜へ父さんは言葉を紡ぐ。だけど母さんは動じない。血が出てるんだぞ?桜は急いで病院へ電話しようとすると母さんは桜の携帯を取り上げ

「大丈夫、手術のあとで当たり前にあるから」

と言う。だけど桜は

「だとしても、これは血の量が異常です!このままだとお義父さんが死んでしまいます!」

「私が言ったように動いてくれない旦那なんかいらないわよ」

母さんはそう言った。俺がいない間になにがあったか詳しくは知らないが俺は母さんが許せなかった。俺は母さんに言い返そうとしたが

「いい加減にしてください!!」

そう言ったのは桜だった。

「お義父さんのことなんだと思っているんですか!?お義父さんはあなたのことを世界で一番想ってる人ですよね?それを奴隷みたいに……ふざけないでください!愛に上も下もありません!」

と言いながらテキパキと出血の処置をする桜。しばらくすると血が収まった。

「ありがとう。桜さん。」

「いえ……私大声あげてしまって……」

「いや、嬉しかったよ。智の好きな人が桜さんで。」

父さんはそう俺たちを見て微笑む。




















その顔は久々に見た親の顔だった。

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