第33話

「桜?」

「蓬莱さん!!」

俺は地元の映画館にたまたま訪れたところそこには桜がいた。

「なにか観るの?」

「はい!蓬莱さんは?」

「俺は買い物頼まれたから、ほら」

とメモを桜に見せると桜は納得する。

「私これから恋愛観るんですけど、良かったら一緒に観ません?」

と桜は目をキラキラしながら言った。




















そんな誘い断れず俺は桜と一緒に映画を観た










映画は病気の彼女が彼がサッカー選手になる夢を死ぬまで応援するという話だった








映画のシーンで俺はあるセリフに心が苦しめられた
















「幸せってなに?」
















俺の幸せ……今まで俺は本当に不幸だったのか?家のこと、彩葉のこと、バスケ部のこと、三浦のこと、先生たちのこと……
















俺はスクリーンから目を落とす
















「ねぇ、あなたは今幸せ?」

「俺はお前が病気になってから幸せじゃない」

「不幸なの?」

「そうだ。」

















「私はね、今がとっても幸せだよ」

















そんなセリフに俺は顔を上げた
















「私ね、病気になってから気づいたことがあるの。毎日生きることの幸せ、話せる幸せ、笑い合える幸せ、悲しみ合える幸せ、泣き合える幸せ……私たちって今の現状を幸せじゃないっていうけど世界中を探しても不幸なのは戦争だけだと思うの。」

「俺は!!……お前といないのが幸せじゃない……これから俺はどうやって生きれば……」

「私のこと覚えて……いて?……それとあなたの夢を叶えて……それが私にとって、あなたにとっての幸せよ?」

「……!」

「大きな涙が溢れる日もそれも幸せ……泣いても笑っても同じ人生があるなら少しでも多く笑ってる日があればいいでしょ?」

初めて知った愛の色だった。それは笑いでもあり、悲しみの色。



















「だからね?泣かないで……?」

と彼女は彼を抱きしめ涙ながら

「もっと生きたかった……」

















と苦しみながら涙するシーンに俺は泣いた



















俺はこのとき桜をでっかい愛で守ってやろうって思った

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