第31話

俺たちのデートは決まって海辺のバスケットコートでの1on1だった。お互い予定が空いているときはそこに決まっていた。朝早くから2人で1on1をやって午後からは散歩や買い物に行ってた。桜は相変わらずバスケのときは負けず嫌いだった。俺たちは互角で毎回接戦だった。そしていつの間にかギャラリーに人がいて俺と桜を応援する人がいた。

「おぉー!兄ちゃんやっちゃえ〜!」

「あの姉ちゃんもうめぇなぁ!!」

俺たちはいつも気づくと人だかりに囲まれていてその場をさっと去る。




















そのあと俺たちは海辺を散歩した。俺は海を見た。母さんは漁師の家系だった。しかし母さんは泳げなく、代わりに頑張っていたのは魚の解体だった。

思えば俺、両親に桜のこと話していなかったなと思った。それに彩葉にも

「蓬莱さん?どうかしました?」

「ちょっとついてきて」

俺は桜を彩葉の墓に連れて行った。












こんなことするなんてまだ俺が彩葉に未練があるみたいになると思うけど彩葉は俺が変わるきっかけをつくってくれた人だから。














「ここ……椿が綺麗ですね……」

「彩葉にぴったりなところだよ。久しぶり、彩葉。」















椿の花言葉は控えめ、誇り

彩葉は俺をちゃんと見てくれた人だったから。
















「彩葉さんって……」

「俺を助けてくれた人だよ。」

「彩葉さん……蓬莱さんを救ってくれてありがとうございます……!!」

そう言うと桜はなぜか涙を零した。

「桜!?大丈夫?」

「はい……だって彩葉さんがいなかったら私……蓬莱さんに出会ってなかったですし。」
















このとき俺は桜はなんて優しい子なんだろって思った。普通だったらまだその子に未練があるなら別れると思う。

















しかし桜は出会った人すべてを包み込むような優しさがあるとわかった。

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