だいたいのことはお腹いっぱい食べれば解決しそうです

田中

始まりは突然に

僕の名前は馬場明良。

高校生だ。


でも、高校生活は華やかでもなければ、楽しくもない。

僕はスクールカーストの底辺にいる。

いじめられている訳ではない。

ただ、根暗でコミュニケーション能力ゼロ。

おまけに身長は低いのに、体重は100キロ到達。

顔もイケメンとは程遠い、残念な仕上がりだ。


クラスに友だちと呼べる人間はいない。

クラスメイトの見下すような目線を日々感じている。

そんな連中と仲良くなれる訳ないだろ。


趣味は食べることと料理を作ること。

毎日のお弁当も自分で作っている。

学校を休むと家族に心配をかけてしまうので、出席はしている。

成績は中の上。

運動は苦手だ。

痩せた方がいいのはわかっているけど、ついつい食べてしまう。




そんなある日。

日本史の授業中。

異変は起きた。


突如、教室の床が輝き出した。

教室が光に満たされ、目が開けられない。

奇妙浮遊感に襲われる。


「キャーーー」

「なんだこれ?」

「うわぁぁぁぁぁ!?」


教室に悲鳴が鳴り響く。


ドスン


「「「「イタッ」」」」


尻餅をついた。

急に椅子が失くなったのだ。

お尻が痛い。


あちらこちらで痛がる声が聞こえた。

みんな同じ状態なんだろう。


ようやく、目を開けることが出来た。

周囲を見回すと、クラスメイトたちもキョロキョロと周囲を見回している。


そして、明らかに教室ではない場所にいた。

・・・集団転移。

アニメでよくあるパターンだ。

まさか自分が集団転移に巻き込まれるとは思わなかったけど。


「みんな落ち着いて!!」

百田先生がみんなに声をかける。

でも、そんな焦った悲鳴のような声で言ったら逆効果だと思う。


百田先生は担任の先生だ。

まだ20代の若い女性の先生。

優しくて可愛らしい女性でノリも良い。

けっこう人気のある先生だ。

特に一軍の生徒とは友だちに近い感覚で仲良くしている感じだ。

僕はあまり得意じゃない。


案の定、一部の女子生徒がパニックになっている。

「先生!ここどこなの?」

「帰れるよね!」

「なんとかしてよ!」

「エェ~~~ン」


無理でしょ。

どう考えても先生がどうにか出来る事態じゃない。


「え、あ、え、とりあえず落ち着いて!

みんな落ち着いて!

ね、落ち着いて!」


泣きそうな顔をしながら「落ち着いて!」を連呼している。

それで落ち着けるとは思えないけど。


「みんな!

先生に詰め寄っても仕方ないだろ!

一旦冷静に状況を確認しよう!」


みんなが声の主に注目する。

北条雅樹。

クラスの中心的な男子だ。

成績優秀、スポーツ万能、長身イケメン。

男女共に人気がある。

僕とは対極のような存在だ。


「雅樹、あっちに通路があるぞ。

見に行くか?」


荒川勇紀。

こちらもクラスの中心的な男子だ。

北条君とは仲が良く、この2人がクラスの中心だ。

優等生タイプの北条君とは異なり、荒川君はやんちゃなタイプだ。

どちらにしろ仲良くはなれないけど。


「わかった。見に行こう。

いいですよね。先生。」


「え、あ、お願いするわ。」


北条君と荒川君、それに数人の男子が続く。


彼らが通路に向かおうとすると、通路の向こうから数人やって来た。


先頭には2人の男女。

金髪の美男美女。外国人モデルのような感じだ。

「みなさん、大丈夫ですか?」

金髪美男が声をかけてきた。


北条君

「あなた方は?

それにここはどこなんだ?」


金髪美男

「突然の異世界転移でパニックでしょう。

我々は異世界転移に巻き込まれた人々を保護する活動を行っている者です。

私はエリック。」


金髪美女

「私はカロッサです。

私たちはあなた方のように異世界からやって来て困っている方々をサポートしています。」


百田先生

「もう少し詳しく教えて頂けませんか?」


エリック

「もちろんです。

いきなりの転移で不安でいっぱいでしょう。

少しでも不安の解消にお役に立てればと考えております。」


カロッサ

「まず、大前提ですが、

ここはあなた方が元々いた世界とは別の世界です。」


ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ



・・・やっぱり異世界転移か。

想像通りだな。

後はこのエリックさんとカロッサさん。

アニメの定番は2パターン。

1つは凄く良い人で異世界生活のスタートを助けてくれるパターン。

もう1つは実は悪い人でこちらをハメようとしているパターン。


今回はどっちかな、、、

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