第17話 死神手帳07-闇が深い人間界

 毛木幹事長は自分の存在を示すため優位に進めている仲間の甲野大臣が推す中酷から帰化一世の候補者の応援に満面の笑みで駆け付けた。


ギル「こいつか今の段階のラスボスは?」

ゲル「そのようだな、今の所はな」

ギル「意味深だな」

ゲル「本当のラスボスは闇に隠れるものだからな」

ギル「そうとは限らないぜ。馬鹿は馬鹿だからな」

ゲル「同じ匂いがするから分かるのか」

ギル「ギィ~イ」

ゲル「図星か。まぁ、それは置いといて馬鹿なラスボスの危機感

   を煽って炙り出した今回の応援はSNSで騒がれるぞ」

ギル「怖いねぇSNSってやつは」

ゲル「扱い方だ。マスゴミはゴミしか報じないからな。SNSで騒

   がさせる」

ギル「まどろっこしいなぁ~。消してしまえば簡単なのに」

ゲル「それでは臭い物に蓋をするだけだ。臭い元を絶たなければ

   何も変わらない」

ギル「面倒臭いなぁ~」


 魂界の龍晟と龍櫂、善田、式神のギル・ゲルたちの行動により仲間を裏切り利益を得ようとした田別細道と細野不四夫は存在そのものが煙たがれ、議員生命の危機に晒されていた。彼らを担ぎ出した毛木幹事長は彼らをゴミを捨てるように無視して見せた。  

 県連の意志を軽んじ有能な候補者を窮地に追い込み、献金絡みの反日が疑われる候補者を応援する。有権者は、SNSで情報を得て自由民党の醜い混乱が表沙汰になり、冷遇の目を注いでいた。


毛木「応援に行って、けなされるってどういう事だ」

甲野「放っておきましょう。選挙に行かない奴らですから」

毛木「俺は悪代官扱いだ」

甲野「無視されるよりましですよ」

毛木「面白くない。岸部も調子に乗りやがって」

甲野「お灸を据えないといけませんね」

毛木「安倍川がいなくなって安堵してたのに」

甲野「高倉でなく岸部までが邪魔になるとは」

毛木「大東の奴、しくじりやがって高倉の株を挙げよって」

甲野「まぁまぁ、工作員は動いてくれていますから」

毛木「動くのはいいが結果だ、結果」

甲野「缶酷ではトップに立つと牢獄、我が国では死」

毛木「不吉なことを言うなぁ君は」

甲野「邪魔な者はいなくなるのが一番でしょう」

毛木「俺はまだそこまで冷酷にはなれないな」

甲野「では、総理の座は私が先に頂きますよ」

毛木「それとこれとは話は別だ」

甲野「セキュリティクリアランスが通ればスパイ防止法が導入さ

   れ反日罪が現実化する。それでは甘い汁が枯渇する」

毛木「それをさせないために俺たちがいる」

甲野「そうですね。虫もパネルも散々ですよ」

毛木「ここまで裏目にでると救世主の登場が望まれるな」

甲野「出てくるかもしれませんよ。馬鹿が多いですからね」

毛木「意味深だな」

甲野「工作員が動いていると言ったでしょ。この国はスパイ天国

   ですからね。土地を渡し基点を融通している。私たちがこ

   の国を手に入れるためのね」


 式神は、魂界の修徒が集めてきた状況映像を観ていた。


ギル「これ、可笑しくないか?これではラスボスは甲野に見える

   ぞ」

ゲル「そうだな。それだけ闇が深いということか」

ギル「この状態で毛木がラスボスなら本当に悪代官だな」

ゲル「総裁選に毛木は出ていない。表に出ず裏で糸を引くか」

ギル「金の出所が関係してるのか」

ゲル「そうだな。甲野一族は反日一派の資金源の一部かもな」

ギル「じゃ、本当のラスボスは誰なんだ?」

ゲル「まだ分からない。金と政権は別なのか、馬鹿な集団だから

   欲の塊で見えないのか、もうしばらく様子を見よう」

ギル「こうこうこう。絡み合っている、面倒臭いなぁ」

ゲル「米国も表はバイト、裏ではオーマン前大統領だからな」

ギル「日本では91代の福日か、そんなに影響力があるのか」

ゲル「烏合の衆だろう。甲野一族がその中心にいる」

ギル「金庫番を甲野一族が握っているから毛木も強気に出られな

   いのか」

ゲル「毛木は確実に勝てる戦いにしか参戦しない。だから帰化一

   世の候補者の応援に出てきたんだろう」

ギル「本当にズルいい奴だな毛木は」

ゲル「帰化一世の候補者の敵はあの大東の立憲強酸党だ。大東の

   お陰で立憲強酸党への批判が追い風と読んだ卑怯者だ」

ギル「有権者にとっては地獄だぜ。中酷贔屓の候補者、馬鹿の集

   団立憲強酸党。白紙で出せば帰化に。下衆を掴めば馬鹿

   に。こんな地獄はないぜ」

ゲル「票を持っていても入れる場所がない。白紙も抗議にならな

   い。生殺しだな」

ギル「人間界は怖いなぁ。人間でなくて良かったぁ」


 式神の愚痴は、予期せぬ事件で一機に緊張感を増した。

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