【戯曲】ウェルカム・ザ・ワールド!

紫陽_凛

第一幕 桃色うさぎと金の鍵

場所

 薄暗い部屋の中


人物

 わたし

 桃色うさぎ(ウサ子)

 黒うさぎ

 ぶたの姉(ブウ子)

 ぶたの弟(ブヒ)


※※※


【開幕】


 わたし、けたたましいアラーム音で目を覚ます。同じベッドから桃色うさぎが飛び起きる。


桃色うさぎ「はっ時間!!」

わたし「なに?どうしたの?あなたはだれ?」

桃色うさぎ「急がないと、急がないと大変!」

わたし「うさ?」


 桃色うさぎ、寝巻を脱ぎ捨てて慌てて駆け出す。ふところから、ぽろりと金の鍵が落ちる。


わたし「あ!待って!うさぎさん、待って!」

桃色うさぎ「ウサ・ウサ・ウサ・ウサ!」


 わたしの静止を聞かず、桃色うさぎ、ドアの外へと出ていってしまう。わたしはあわてて、金色の鍵を拾い、その後を追う。


【暗転】


場所

 暗くて細い道


※※※


わたし「待って待って!」


 わたしがドアを開けると、暗くて細い道が続いている。桃色うさぎは影も形も見えない。わたしは、金色の鍵を握りしめて長い道を行く。


わたし「うさぎさん、どこに行っちゃったの」

ぶたの弟「こんばんブヒ」

わたし「わあ!?」

ぶたの弟「おどろかせちゃった。ごめん

わたし「ブヒ?」


 ぶたの弟はサングラスをかけている。


ぶたの弟「こんな言葉を聞いたことがあるかい。

わたし「う、ううん。しらないよ」

ぶたの弟「そうかぁ。……ブヒのねえさんにも聞いてごらんよ。きっと知ってるブヒ」

わたし「ねえさん?」


 ぶたの弟、それ以上何も言わずに先へ行く。わたしも、その後を追う。


わたし「あのね、ぶたさん。あのね。わたし、桃色うさぎさんを探しているの。どこにいるか知ってる?」

ぶたの弟「ああ、ウサ子のことかい。ウサ子ならねえ、ものすごい速さであっちへ行ったよ。あいつったら、ブヒが追い付けないくらい速いんだブヒ」


 ぶたの弟、遠くに見える明かりを指さす。


わたし「ありがとう!」

ぶたの弟「ブヒ・ブヒ。気を付けて」


わたし、走って光の方へ向かっていく。

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