2番を狙え…!

@J2130

第1話 情報システム室の力

  20年前に某放送局の番組に出たことがあります。取材を受け画像というか動画もありました。

 アーカイブがないことをしっかりと確認してから書いています。

 20年前ですからね…大丈夫です。

 


「見たよ! 」

 という連絡がかなりきました。


 恥ずかしいので実父母にしか連絡はしていませんでした。

 勿論、奥さんは知っていますしそのご家族もです。奥さん、映りはしませんでしたが取材もされました。


「何…どうしたの…」

 そんな感じのみなさんの驚きがやはり恥ずかしかったです。


「○○見ていたら突然…」

「いきなりはないだろう…」

「おい、言ってくれよ、録画したのに…」

 それが嫌だったから黙っていたのです。


*****


 今ではだんだんとなじみになってきています「男性の育児休暇制度」。


 僕の勤める薬局に来る営業さんなども普通にとっています。

 でも20年前は“普通”ではなかったのです。

 まだ普通でない会社はたくさんありますが…


 当時僕はベビー用品メーカーに勤務していました。そんなベビー関連の企業としては早めに導入しないといけなかったのでしょう、社内規定に組み込まれました。


 確か新生児が産まれてから半年以内に1週間とらなくてはいけないものでした。


「取らなければいけないの…? 」

 人事から促されましたので逆に訊きました。

「お願いします、是非1番になってください!」

 人事の知り合いの金子さんは期待感もりもりで僕に言いました。


 1番…

 他社でもほとんどまだやっていない…

 ベビー用品メーカー


 当然予想される事態があります。


 いろいろな媒体からの「取材」です。


 目立ちたがりではないので、というかシャイなのでそういったものは遠慮したい…。


 当時は情報システム室に勤務していました。

 勤続10年のベテランです。

 システムエンジニアは3人しかいませんでした。

 生産、開発以外の全システムを範囲としているシステム室のエンジニアが3人というのも少ないですが、1週間とはいえ一人がまるまるいないのも…

 戦力が1/3になります。


 それにね…こちらが本音ですがやはり取材は嫌です。


 絶対に嫌です。

 本当に嫌です。


 ヨシ!

 情報システム室の力を発揮しよう。

 

 僕はあらゆる人脈とそれこそ情報を駆使して作戦を練りました。

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