第7話 鋼の翼
駄目だっ! ミギテは黒マントからの攻撃に、恐怖で身じろぎも出来ないでいるっ!
「クッソ!」
俺はミギテを守るために地を蹴り飛び出すと、目の前に何かが素速く横切った。
「なんだっ!?」
鋭い凶器と化した赤い物体は地面に突き刺さる。だが、そこには既にミギテの姿はない。
「あははははっ! 危ないところだったなぁ! ジン様!」
「あ、あれは……」
高らかに笑う声に視線を向けた先には、
「その翼は……オレの武装っ!!」
驚いた……翼だけが武装化している。
長い銀の髪は頭の左右に高く結わえていて、この女もミギテと同じように生身の肌を露出しペラペラの黒い布を胸と腰に巻いている。
それにしても、どうして翼だけが……本来なら胴体部分と一体化しているはず……となるとあの女は……俺の……。
「
「やっと見つけたよ、ジン様!」
俺を探していたのか……。
ドウはミギテを抱えたまま瞬時に目の前へ飛んできた。
「速いっ!」
なんてスピードだ……俺の武装体とは比べ物にならないぞ……ドウにも無限石の力が宿っているというのか?
「いやぁ、ボクの名前を覚えていてくれて嬉しいよ。ジン様は武装体も素敵だったけど、今の姿もカッコイイなぁ!」
「こらー! ダメですーーっ! ジンタイ様は、わたしの婚約者ですからー!」
ぼーっとしたままドウに抱えられていたミギテが突然声を荒げる。
「おいおい、いきなり大声出すなよなぁ、ところで
同じ武装同士なのに分からないのか……。
「誰って……こいつは俺のミギテだ」
「えぇぇっ!! ミギテっ!? しかも俺のって……ジン様こんなのが好みだったのかよぉ! まさか婚約者って
「なっ! なんですってー! 貧乳の癖に!」
「グッ! 胸の大きさは関係ねぇだろっ! この赤目女っ!」
なんなんだ、一体……とりあえず今はこいつらより黒マントが先だ。
俺は上空に視線を向ける。
だが、そこには黒マントの姿は既に無く、いつの間にか黒雲は消え、青い空が彩られていた。
「い、ない……」
警戒して辺りを見回すが、やはり奴の姿は何処にも見当たらない……助かったか……。
「あははははー、きっとボクの登場に恐れをなして逃げてしまったんだよ」
「そんなわけないじゃないですか! わたしのパンチにビビったんですよ!」
「はぁ? お前がビビってたじゃないか! ボクが助けなければ、今頃串刺しだったよ?」
「誰も助けてなんて言ってませんから! あんなの避けられましたー!」
それにしても、この状況……奴はいったい何のために、こんなことを……。
「ジン様、それにしても酷い光景だねぇ……」
「おろろー、地獄絵図ですねー」
――俺たちは、たくさんの人間たちの抜け殻に囲まれていた……。
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