第16話
事務作業をこなし、王宮よりリリスの家に帰ってきた僕。
「リスト……仕事中は見た目不相応に出来る子なのに……なんで家だと、年齢相応になるの?」
そんな僕の姿を見て、リリスは辟易とした様子で口を開く。
「今僕の姿を見て、年齢相応になるのだとしたらこの国があまりにも貧しすぎるか、君がどうしようもないほどの愚かの二択だと思うんだけど」
今の僕はまるで冬眠しているくまのように微動だにせず、布団にくるまっている。
そんな僕の姿を元気に走る回る子供と同じなどと……全くもって意味がわからない。
僕の姿は疲れ果てた社会人のようなものであろう。
「はぁッ!?私が愚かッ!?」
「……どっちもみたいだね」
パッと見は完璧超人のような印象を受ける金髪女騎士であるリリスは超がつくほどのドジッ子だ。
この一週間で嫌という程に思い知らされた。
「不服だよッ!私を愚か扱いするなんて!酷いわ!これでも私は学園を主席で合格し、この国で最強と言われるほどに優秀な騎士なのよ!」
「じゃあ、いつになったら塩と砂糖を間違えなくなるの?」
「うぐっ」
「いつになったら洗濯物で服を切り裂かなくなるの?」
「うぐっ」
「いつになったら皿を一枚も落とさず皿洗い出来るようになるの?」
「うぐっ」
「というか、なんで僕が来るまで普通に生活出来ていたの?それに最強だと言うならなんであんなクソ弱い盗賊に負けているの?」
「ハァんッ」
リリスは膝から崩れ落ち、その瞳に涙を浮かべる。
「うぅ……持ち物を間違えてたんだよぉ……間違っていつも使っている槍じゃなくて剣を持っていっちゃったんだよぉ」
「なんで?何をどうやったら剣と槍を間違えるの……?」
剣と槍。
その二つの見た目はぜんぜん違うだろう。これらを間違えるとかどうすればそんなことが可能になるんだ……?
もはやドジっ子っていう域じゃないでしょ。
「はぁー。エミリア様の側近なら僕と行動もすることが多いだろうし……彼女のコントロールは僕がちゃんとするようにしよう。うん」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます