第17話 登録完了!


 「みんな、最新の魔獣の世界の地図は確認したよね?」


 「もちろんだよ」


 「もちろんよ」


 「・・・」



 オレリアンはバツが悪そうに下を向く。



 ※魔獣の世界の地図とは王国騎士団が作成してギルドに配布している地図のことである。地図には常夜の大樹を起点に20㎢の位置が描かれていて、生息する魔獣、素材、注意事項などが記載されている。一度作成された地図は、魔獣の世界の変化により、随時ギルドによって変更されるので、随時新しい地図を確認する必要がある。

 ※魔獣の世界のランクは常夜の大樹を起点に20㎢内のランクであり、それより先は未知の領域なので立ち入り禁止となっている。



 「注意事項は確認したよね」


 「常夜の大樹の北側15㎞以上は立ち入り禁止なっていたわ」


 「その通りだよ。詳しい内容は記載されていないが、災害魔獣が確認されたのかもしれない」


 「もしそうなら常夜の大樹が封鎖されるはずよ」


 「今から言うことは俺の推測だけど、北側の禁止エリア付近(常夜の大樹から20㎞先のエリア)で災害魔獣が目撃されて、ギルドに報告されたのだと思う。今は調査段階だから閉鎖をせずに禁止エリアの枠を広げたのだと思うんだ」


 「本当なの?もし、サミュエルの推測が正しいなら魔獣の世界へ行くのは控えた方がいいと僕は思う」


 「ギルドが閉鎖をしていないなら大丈夫だろ」


 「俺もオレリアンと同意見だ。でも、ポールの言いたいことは理解できる。だから岩場エリアを選んだのだよ。岩場エリアは南側に位置するので、禁止エリアとは真逆の位置になるので安全だと判断した」


 「さすがサミュエルだね。僕はそこまで考えが回らないよ」


 「みんなが作戦を理解してくれたことだし、俺は今からギルドへ行って魔獣の世界への入場許可をもらってくるよ」


 「私も一緒に行くわ」


 「僕は明日に備えて装備の手入れをするよ」


 「俺は魔銃の練習をしてくる」



 サミュエルとレアと一緒に冒険者ギルドへ向かった。


 ※魔獣の世界に入る方法 ギルドの依頼を受けて入る場合は、冒険者証に依頼登録を入力すると許可が下りる。しかし、依頼を受けるのではなく、狩りを行う場合は入場許可手続きしないといけない。(入るたびに必要である)



 『ここで待っていたらサミュエル君たちが来るはずね』



 私はサミュエル達と一緒に魔獣の世界へ行くと決めたので、冒険者ギルドで待ち伏せをしていた。



 『あ!来たわ。3時間も待った甲斐があったわ』

 


  私はサミュエル達がいつ訪れてもいいように、朝の7時から冒険者ギルドの前で張り込みをしていた。


 サミュエルとレアが冒険者ギルドの扉を開き、サミュエルは総合受付に向い、レアは中央にある掲示板の方へ歩いて行く。



 『総合受付に向かったってことは狩りに行くのね』


 「すみません。明日食用魔獣の狩りに行きたいのですが、魔獣の世界に入る許可を下さい!」



 「あら?昨日ノルマルに昇格したサミュエルさんですね」


 「はい。地図を確認して計画を立てましたので、さっそく狩りに行くことにしました」


 「そうなのね。今確認しますね」


 

 クロエはモニターを見て予約状況を確認する。



 「食用魔獣の狩りは、6組の冒険者が登録されていますので、まだ大丈夫ですよ」


  

 ※魔獣の世界は人数制限があり、パステックの食用魔獣の常夜の大樹での狩りは、10組までと決まっている。

  



 『食用魔獣の狩りにいくのね!ラッキーだわ。これで美味しいお肉が食べられる』



 私の口元から一筋のよだれが流れ落ちる。


 

 

 「それでは、冒険者証を確認しますね」


 「お願いします」


 

 クロエは冒険者証を受け取り読み取り機に差し込む。



 「魔獣の世界に入る人数と名前を教えてください」


 「4名です。名前はサミュエル・ルーセル、レア・エスポワール、ポール・ベルナール、オレリアン・ランベール・・・」


 『ソリテです』


 

 私はあわてて自分の名前も叫ぶ・・・心の中で。



 「の4名です」


 『違います。5名です』


 「わかりました。データを入力しましたので、常夜の大樹でも全員の冒険者証を確認しますので忘れずにお持ちください」


 「わかりました」



 「初めての魔獣の世界、くれぐれも無理をしないでね」


 「はい」



 サミュエルは元気良く返事をしてレアの元の戻って行く。



 「レア、手続きは完了したよ」


 「大声で返事をしていたから、わかっているわよ」


 「俺・・・そんなに大きな声を出していたの?」


 「ええ、あなたでも緊張するのね。可愛いわ」


 「緊張などしていない」



 サミュエルは顔を赤らめていた。








 


 

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