第3話 ゴブリン

「この状況、どうする...。」

 ゴブリンのような見た目の異形は明確な殺意を持って近づいてきていた。


 急にファンタジーな怪物が殺しに来た事でかなり焦ったが、少しでも心を落ち着かせ状況について思考を巡らせる。


 カバンのなかに包丁があるはずだ、確かカバンは...。あっ、オッサンを取り押さえるために道路においたんだった。うわー!!あの時の俺!何してんだ!やべーぞ、このままならこの場面打開できそうにない。

 でも、希望的観測で近くにあるかもしれない。ほらっ!、召喚する人とその人の物を判別して一緒に召喚するみたいな。しかし、あいつから目を離して周りを見るのは危なそうだ、ちょっと隙を見せた瞬間に棍棒で叩かれるかもしれないしな。

 一旦様子を見るために下がるか。


 ゴブリンの方を向きながらすり足で後退していく。


  ボスッ


 1mほど下がったところで足に何かが当たったため、少しだけ目線を下に向ける。

 そこには、家に帰ってすぐに試すために登山とかで見るカバンの横ポケットに入ったソレが見えた。


「ッし!運が回ってきた」

 少し腰を下ろしカバンから包丁を一瞬で取り出し、そのままの勢いでゴブリンに向かって走り出す。


「グギャギャ!」


 ゴブリンが棍棒を振り上げ、すごい速さで振り下ろしてきた。


「早い!」

 でも、かわせないはやさじゃない!


 ゴブリンの左へむかって一歩踏み出しながら半身になり避ける。そして、振り下ろされた棍棒を足で抑え、目を潰すために包丁を両目にすばやく軽く突き刺す。


「グギャァァアアア!!!」


 ゴブリンが目を抑えて痛がっているうちに背後に回る。そしてとどめに包丁で首を切る。


 するとゴブリンが地面に倒れた。


 …首を切り離された状態で。


「いやっ、マジかよこの包丁...。」

 肉や骨が紙同然に切れたぞ...。


「ん?」

 体が軽くなった?


「もしかしてレベルアップ?ならステータスもやっぱあるのか?」


「ステータスを見るのにスキルか何かが必要なのか?」

 なら、持ってるかわかんないけど


「鑑定」

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